人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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和銅黒谷駅と和同開珎

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2021/03/08 11:59

観光地として知られる西武秩父駅と、舟下りで有名な秩父鉄道長瀞駅の間に、和銅黒谷駅という秩父鉄道の小さな駅がある。1日の乗降客は200人ほどという無人駅だ。かつては地名に因む黒谷駅という名前だった。以前この駅を通過した際に、ホームに和同開珎のオブジェがあったことから、1度は来てみたいと思っていたところだ。

飛鳥時代の708年、秩父の黒谷で日本で初めての和銅が発見された。和銅とは「にきあかがね」といい、精錬を必要としない程純度の高い銅のことだ。朝廷に献上したところ、喜んだ元明天皇は年号を和銅元年と改め、和同開珎が製造された。

駅から15分ほど歩いて山の中腹に入ると、川沿いに突然巨大なモニュメントが現れた。ここが和銅の採掘現場で、時代的に当然露天掘りである。

銅の鉱床が露出していたために採掘したわけだが、この埼玉西部の山の中の銅鉱床が発見されたということは、当時の秩父地方は人里離れたへき地ではなかったということだ。古代この付近は知々夫(ちちぶ)国という国で、早くから開かれていたことがわかる。

和銅の発見から1300年たった2008年、黒谷駅は和同開珎ゆかりの駅として和銅黒谷駅と改称した。現在では和銅は一部地名のように使われている。

格納箱にある「和銅区」の表記
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