人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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1文字の名字と3文字の名字

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2011/02/22 09:24

最近、いろいろな媒体から名字に関する問い合わせがあるのだが、先日、「1文字の名字と3文字の名字はどちらが多いか」という質問を受けた。

日本人の名字は漢字2文字のものが多い。これは、日本では名字のルーツが圧倒的に地名であることに関係している。

和銅6(713)年、郡名や郷名といった地名は良い漢字2文字にせよ、という和銅官命が出たことにより、漢字1文字や3文字の地名は2文字に改められた。そして、平安後期頃から、これらの地名をもとにした名字が大量に生まれたため、日本人の名字は漢字2文字が多いのだ。

もちろん、今では1文字や3文字の地名も多く、名字にも2文字以外のものはいくつかある。

今回の依頼に対して、1文字名字の人と3文字名字の人をを人口比で厳密にカウントするのは難しいので、とりあえず名字ランキング上位のもので調べてみた。

ベスト100では、1文字名字は「林」「森」「原」の3つ、3文字は「佐々木」「長谷川」の2つと、あまり差がない。

ところが、ベスト1000まで拡大して調べると、3文字が20個なのに対し、1文字名字は38個もあり、ほぼ倍という結果になった。

1文字の名字には前記3つの他にも、「辻」「関」「堀」「南」「岡」「西」など、地形や方角に関する一般的な言葉が多いのが理由だろう。それに対して、3文字の名字はもっと珍しいものが多く、おそらくランキングのかなり下位の方に集中しているのではないかと思われる。
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