人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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明智光秀のルーツ

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2020/01/06 13:25

(画像はNHK公式サイトよりキャプチャ)

例年より2週間遅れで始まる今年のNHK大河ドラマは「麒麟がくる」。主人公は本能寺の変で織田信長を弑(しい)した明智光秀だ。光秀は出生地に数か所の説があるなどその前半生が謎に包まれており、大河ドラマがどの説に従って展開されるかが注目される。

光秀はその出自もはっきりしない。一般的には美濃の名門土岐氏の一族とされているが、確実な証拠があるわけではない。

明智氏のルーツは美濃国可児郡明智荘(岐阜県可児市)で、同地にある明智城は長山城とも呼ばれている。近年、土岐頼貞の子で南北朝時代の武将頼基が長山氏を名乗っていた史料が見つかったことから、頼基が明智荘に住んで長山氏を称し、その子頼重が明智九郎と称したのが祖ではないかとみられている。なお、恵那市にも明智地名があるが、ここは遠山氏一族の明智氏のルーツの地である。

つまり、美濃の明智氏が土岐氏一族であることは間違いないが、肝心の光秀がこの明智氏とどういう関係にあるかがわからないのだ。通説では明智氏嫡流で明智城主明智光綱の子とされるが、実際には明智一族に名を連ねていた、という程度ではないだろうか。

いずれにしても「麒麟がくる」はドラマであり、史実を忠実に再現するものではない。不明の部分をどう作り上げるかがドラマの面白さなのだろう。

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