実務よろず相談室

本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。

「企業実務」本誌の購読・見本誌・お問い合わせ等をご希望の方は、下の「著者プロフィール」欄内のバナーよりエヌ・ジェイ出版販売株式会社までお問い合わせください。

著者プロフィール

月刊「企業実務」は、総務・経理・人事といったスタッフ部門が抱える日常業務についての諸問題をわかりやすく解説・アドバイスするビジネス実務誌です。

1962年の創刊以来理論より実践を重んじ、仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確かつわかりやすく、タイムリーにお届けしている本誌は、経理・税務・庶務・労務の事務一切を凝縮した、“すぐに役立つ専門誌”として好評を博しています。

会社の実務相談 「新規開拓できる人材/スマホゲームの制限」

このエントリーをはてなブックマークに追加

2018/10/11 12:04

(photo by QUALIA studio/fotolia)

企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!

※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。

今回の実務相談

Q.新規開拓のできる人材を探す方法を知りたい

従業員40名の部品メーカーの総務人事課長です。これまで大手製造業の下請としてやってきましたが、技術を活かした自社製品をつくって展開したいという話があります。その担当者を社員のなかから探すか、経験者を採用したほうがよいのか悩みます。

A.社内にいる「聞き上手」を探せ(回答者:営業コンサルタント 花田敬)

最近はBtoBの商材を扱っているメーカーで、系列外など新規開拓の人材を求めている会社は多いようですね。そうした会社によくアドバイスしているのが、「新規開拓でいちばん大事なのは粘り強さである」ということです。

営業というと、一般的には積極的で、明るく話上手な人をイメージしがちですが、かえってそうした人はミスマッチになります。BtoBで新規の顧客を開拓するには、確実に納品できるとか、細かい要望に応えられるとか、そうしたことが大事です。

私たちの保険業界は常に新規を獲得していかないと続かない業界ですが、自動車や住宅をたくさん売ってきたような人ではなく、むしろ、システムエンジニアや経理担当者など、前職では対外的なポジションにはいなかった、という人が意外と成功しています。

また、同種の業界の営業経験者がよいかというと、前職の常識に縛られたりすることと、どこもそうした人材は不足しているので、「できる人」を引っ張ってくるのはむずかしいでしょう。そういう意味では、いまいる社員から適任者を探したほうがよい、ということになります。

社内にいる「聞き上手」を探せ

社員の要望を聞く立場の総務や経理、自社の製品やサービスを理解しているサービスセンターの技術担当など、内勤の社員で「聞き上手」なタイプがいれば、新規開拓担当という役割にぴったりあてはまる可能性が高いです。

粘り強く、相手の要望に的確に応えていくには、上手なプレゼンよりも、こつこつ話を聞くことのほうが大切だからです。また、そうした社内の営業以外の人材を新規開拓担当にするなら、何をどのように聞いていけばよいかについては、アンケートやヒアリングシートなど、そのためのツールをつくって支援するとよいでしょう(企業実務 17年2月号より転載)。

回答者プロフィール:はなだ・たかし

イーエフピー株式会社代表取締役社長。生命保険営業でカリスマ的な実績をあげたのち、中小、ベンチャー企業の売上げを伸ばすための営業コンサルティング事業を展開。


Q.休憩時間にスマホのゲームをすることを禁止できるか

従業員40名のサービス業の総務部マネジャーです。当社の業務はほぼPCに向かって行なう作業なので、昼休みくらいは目を休めてもらいたいのですが、たとえば休憩時間中にスマホのゲームをすることを禁止することは可能でしょうか。

A.合理的理由があれば制限もできる(回答者:特定社会保険労務士 山本喜一)

大前提として、会社は原則として休憩時間をその人の自由に利用させなければならない、と労働基準法(34条3項)に定められています。頭ごなしに禁止をすることはむずかしいですが、場合によっては禁止をすることが可能ではある、とも考えられます。

合理的理由があれば制限もできる

禁止できるかどうかのポイントは、禁止をすることに合理的理由があるかどうかです。この際、大きく3つの要素が考えられます。

1. 業務に支障が出ている
お昼の休憩時間にスマホなどのゲームで目を酷使し、午後の仕事に支障が出るほど影響している場合などが考えられます。

2. 他人が迷惑をしている
仲間内で盛り上がり、他の社員の休憩を阻害したり、迷惑をこうむったりしている場合などが考えられます。この場合、会社が指定した会議室でのみ認めるなど、場所を限定して許可をするという方法は検討できるかもしれません。

3. 本人、第三者に危険が及ぶ
たとえばGPS機能を使用したゲームの場合、本人が会社内を歩き回ることも考えられます。車両の往来、機械設備、薬品の保管などがある場合、本人はもちろん他の人にまで危険が及ぶ可能性があります。

その他、会社の許可なく会社のコンセントプラグを使用してスマホなどの充電をしている場合は、電気を無断で使用していることになります。そうした場合に注意をすることは可能です。

また、単に「駄目」と言うだけではなく、眼を休ませる方法や休憩の大切さを伝える情報提供をして、強制力を働かせなくても自然にそのような雰囲気になるように促すことも1つの方法です(企業実務 17年2月号より転載)。

回答者プロフィール:やまもと・きいち

社会保険労務士法人日本人事代表社員。財団法人の技術・研究職、法務部門を経て独立。現場、企業法務、危機管理、労働組合役員の経験を活かし、法律を踏まえた現実的な解決策を得意とする。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ