労働法のしくみと仕事がわかる本
発売日 | 2012.01.27 |
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著者 | 向井蘭 |
判型 | A5判/並製 |
ページ数 | 232 |
ISBN | 978-4-534-04919-3 |
価格 | ¥1,870(税込) |
労働法の知識は、会社と社員とのトラブルを引き起こさないために、人事・労務担当者が押さえておかなければならない必須のものです。求人・採用から賃金、解雇、退職・再雇用まで、労働法の全体像を押さえながら、日々の業務のポイントがわかる本です。
≪章立て≫
第1章 会社にとっての労働法とは
第2章 求人・採用・内定・試用期間の法律と注意点
第3章 賃金のしくみと仕事
第4章 労働時間・休日・休暇の法律と注意点
第5章 人事異動のやり方
第6章 懲戒・解雇の際の注意点
第7章 休職・メンタルヘルス不全について
第8章 退職・定年・再雇用の注意点
第9章 労働組合への対応
第10章 就業規則の定め方・変更の仕方
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詳細
はじめに
第1章 会社にとっての労働法とは
1 使用者の権利を正しく理解するために 012
1 そもそも「労働法」という法律はない
2 労働法は大きく3分割して理解する
3 「労働者」と「使用者」を正しく理解しよう
4 使用者の権利を制限する労働法
5 労働基準法と労働契約法のあらまし
2 会社にとっての雇用契約とは 016
1 使用者は労働力を「買い取って」いる
2 賃金について厳しく規制している
3 雇用契約と所有権の関係
3 使用者の権利に縛りをかける労働法 020
1 「使用」に関する規制
2 「収益」に関する規制
3 「処分」に関する規制
4 労働法の規制には強弱がつけられている 022
1 異常なまでに厳しい日本の解雇規制
2 解雇以外の緩やかな労働法の規制
3 長期間雇用が前提とされている
4 労働法の規制に明確な判断基準はない
5 労働基準監督署と裁判所の守備範囲 026
1 労働基準監督署は「労働基準法」を取り締まる
2 裁判所の取り扱う分野は広い
column 社員が労基署に駆け込んだ段階で気をつけること
第2章 求人・採用・内定・試用期間の法律と注意点
1 採用活動の基本的な考え方 030
1 誰をどのような条件で雇うかは会社の自由
2 労働法は「機会の平等」を求めている
2 年齢に関する制限とその例外 032
1 定年制という「年齢差別」が許容されてきた
2 「結果的に」年齢が偏ることに問題はない
3 健康情報の調査について 035
1 健康状態の事前調査は原則として可能
2 個人情報は「どのように管理するか」が問題
3 メンタル面の病歴は慎重に聞く
4 一定の疾病に関する情報収集は禁じられている
4 内定とその前後にまつわる諸問題? その1 038
1 「内定」とはどのような契約か
2 「内々定」を出すなら他社への就職活動は禁止しない
5 内定とその前後にまつわる諸問題? その2 040
1 内定取消しには「十分な説明」が絶対条件
2 内定取消しの具体的なプロセス
3 内々定の取消しで金銭補償が必要になるケース
6 試用期間について 045
1 試用期間中の労使関係とは
2 本採用を拒否したい場合の流れ
3 期間雇用社員に対する「雇止め」
column 採用のグレーゾーン
第3章 賃金のしくみと仕事
1 「賃金」とは何か 050
1 「チップ」は賃金か否か
2 賃金支払いの5原則
3 5原則の例外と問題になりやすいケース
4 通勤手当は賃金に含まれるか
5 使用者には給与明細を発行する義務がある
2 最低賃金と平均賃金 054
1 使用者の「善意」は認められない
2 地域別最低賃金と産業別最低賃金
3 「平均賃金」の意味と求め方
4 「平均賃金」を使用する場面あれこれ
3 減給する際の実務上の注意点 058
1 減給とノーワークノーペイを混同しない
2 減給と「降格」を混同しない
3 欠勤の場合の賃金カット
4 割増賃金の求め方 060
1 36協定と割増賃金
2 割増賃金は「時給」を元に設計されている
3 住宅手当の問題
4 年俸制でも割増賃金は発生する
5 賞与・退職金の考え方と実務上の注意点 064
1 会社に賞与・退職金を支払う義務はない
2 パート・アルバイトの退職金
3 さまざまな退職金制度
4 退職金制度の変更は「最終手段」
5 災害・倒産時の賃金について
column 労働基準監督署は「未来を正す」役割をもつところ
第4章 労働時間・休日・休暇の法律と注意点
1 労働基準法と現実のギャップ 070
1 労働基準法は「工場労働者」を前提とした法律
2 歩合給でも時給計算が原則
3 「成果に対して報酬を払う」という考え方
2 労働基準法における労働時間 073
1 法定労働時間と時間外労働
2 労働基準法は残業を禁止している
3 「36協定」で残業が可能になる
4 36協定の時間に限度はない
5 社員の健康を損なうと会社の責任が問われる
3 労働時間の諸制度 079
1 労働時間の原則と例外
2 変形労働時間制
3 事業場外労働に関するみなし労働時間制
4 裁量労働制
4 いろいろな労働時間 084
1 「手待ち時間」と「準備時間」
2 住み込み管理人の労働時間
3 労働時間と判断されないための処置
5 実務上の残業の管理方法 086
1 使用者に管理責任を求める「46通達」
2 「残業代はいりません」との念書は有効か
3 残業を禁止することは可能か
4 だらだら会社に残れば残業になる!?
6 休日・休暇について 089
1 休日と休暇・休業の違い
2 休日には2種類ある
3 使用者に配慮された休日制度
4 休暇にも2種類ある
5 有給休暇は使用者にとって厳しい制度
6 休業にも2種類ある
7 時間外労働・休日出勤手当の払い方 093
1 「30分未満の残業代切捨てOK」は間違い
2 時間外手当と休日出勤手当
3 振替休日と代替休暇
4 残業代を「定額」で払う方法
5 「定額残業代」導入の注意点
column 残業問題は契約問題でもある
第5章 人事異動のやり方
1 社員の同意が必要な異動・不要な異動 100
●人事異動の4つの形態
2 人事異動における会社の裁量 102
1 正当な人事異動を拒否した社員は解雇できる
2 人事異動の権限と解雇規制との関係
3 労働組合は会社の権限を理解している
3 スムーズに人事異動を行なうための準備 その1 104
1 就業規則の規定
2 雇用契約書の内容を再チェックする
3 どのような経緯で入社したかが重要
4 異動に必要な「積極的な理由」とは
5 人選の理由は具体的に定める
4 スムーズに人事異動を行なうための準備 その2 108
1 過去の事例を洗い出しておく
2 転勤は家庭の事情を配慮する
3 金銭面に配慮する
4 異動自由書の書式
5 具体的なケースにおける注意点 112
1 勤務地変更(転勤)の場合
2 職務・部署などの変更(配置転換)の場合
3 勤務先変更(出向)の場合
4 転籍の場合
6 社員に異動を拒否された場合 115
1 人事異動の進め方
2 異動を拒否された場合の対応
column トラブルを起こした社員でも同業他社に就職できる
第6章 懲戒・解雇の際の注意点
1「懲戒」とは何か 120
1 懲戒とは「一時的」な制裁
2 懲戒処分の種類と意味
2 懲戒処分を行なう際の留意点 その1 123
1 就業規則に定めておく
2 就業規則に「包括条項」を盛り込んでおく
3 1つの非違行為に対する二重処罰の禁止
4 賞与の減額は認められるか
5 新たに懲戒処分の判断基準をつくる場合
3 懲戒処分を行なう際の留意点 その2 127
1 段階的に処分しているか
2 「本人の言い分」を聞いているか
3 始末書の提出を義務づける権利はない
4 手ごわい労働者への対処法
4 労働法における「解雇」 130
1 民法上は自由に解雇できた
2 解雇の有効・無効は裁判所しか判断できない
3 普通解雇・懲戒解雇・整理解雇
5 世にも恐ろしい「解雇」をめぐる裁判 132
1 裁判には莫大な費用がかかる
2 労働審判と仮処分
3 解雇裁判の実態 その1
4 解雇裁判の実態 その2
5 経営にかかわる大問題に発展する可能性がある
6 解雇が有効になる場合となりにくい場合 137
1 解雇が有効と認められる場合
2 解雇が有効と認められにくい場合
7 整理解雇実施の要件 140
1 整理解雇とは何か
2 整理解雇の4要件
8 整理解雇までの具体的な手順 143
1 希望退職条件を考える
2 退職までのスケジュール
3 希望退職の最大のリスクとは
9 解雇が認められるためのポイント 146
1 文書が勝敗を支配する
2 メールは重要な証拠になる
3 警告文書を積み重ねる
4 客観的な数値をいかに揃えられるか
5 教育・指導をどこまで尽くしたか
column トラブルを起こしやすい人は先読みできる
第7章 休職・メンタルヘルス不全について
1 労働者の義務と権利 152
1 労働者には「健康な状態で働く義務」がある
2 休職は労働者の権利ではない
3 メンタルヘルスの確認は特別なことではない
4 メンタルヘルスが労働災害として認められるケース
2 休職に至るまでの手順 155
1 就業規則の記載を確認する
2 本人と面談する
3 「休職命令書」を手渡す
3 復職に至るまでの手順 157
1 期間満了2か月前の本人との面談および診断書の提出
2 主治医との面談
3 総合的な判断
4 「リハビリ勤務」には合意書が必要
5 職場復帰支援の流れ
4 復職不可能と判断した場合 その1 162
1 休職から派生した退職の種類
2 メンタルヘルスをめぐる裁判
5 復職不可能と判断した場合 その2 165
1 判断を迷ったら休職期間を延長する
2 就業規則を見直す
3 退職に至るまでのフローチャート
column 採用前にメンタル面の病歴を聞くことは違法か?
第8章 退職・定年・再雇用の注意点
1 「退職」とは何か 170
1 退職に至るケース
2 辞職と合意退職
2 退職勧奨のポイント 172
1 解雇規制の「受け皿」としての退職勧奨
2 「大人の交渉」に持ち込む
3 定年後の継続雇用 174
1 定年制は年齢差別!?
2 高齢者の雇用確保措置
3 再雇用をめぐるトラブル1 ~NTT西日本の事例~
4 再雇用をめぐるトラブル2 ~東大出版会の事例~
5 2つに分かれる判断基準
4 再雇用をめぐるトラブル防止のための取組み 177
1 再雇用の基準は具体的な数値で表現する
2 賃金や勤務日の決め方
3 再雇用後の「雇止め」トラブル
4 再雇用期間中の解雇について
5 「65歳まで義務化」の今後
column 人の口に戸は立てられない
第9章 労働組合への対応
1 団体交渉の申入れを受けたら 184
1 労働組合と合同労組
2 合同労組からの通知
2 団体交渉に向けた準備 187
1 交渉相手の下調べをする
2 「支部」や「分会」が結成される場合がある
3 団体交渉の進め方 189
1 団体交渉の出席者
2 団体交渉の場所
3 団体交渉の日時
4 団体交渉のルール
5 交渉をスムーズに進めるための注意点
6 労働協約の締結
4 日本の労働組合法と労働組合の権限 193
1 労働組合法とは
2 不当労働行為を押さえておく
3 労働組合の権限
4 「誠実な交渉」とは
5 便宜供与について
5 粘り強い対応が解決への近道 197
1 団体交渉を行なうことのメリット
2 団体交渉を継続しないことのデメリット
column 裁判になると「文書」が重要になる
第10章 就業規則の定め方・変更の仕方
1 就業規則とは何か 202
●就業規則は「ホテルの約款」で理解する
2 就業規則の「作成義務」を理解しよう 205
1 就業規則の作成義務
2 就業規則に記載する事柄
3 作成した「就業規則」が有効となるために 207
1 労働基準法と労働契約法の違いと就業規則
2 法とルールの優先順位
4 就業規則が有効であるための条件 210
1 就業規則の有効要件
2 「合理的な内容」は裁判所しか判断できない
3 問題になりがちな2つの「合理性」
5 就業規則がないとできないこと 214
1 転勤などの人事異動ができない
2 懲戒処分ができない
3 時間外労働・休日労働をさせることができない
4 振替休日・代替休暇が取得できない
5 休業手当を平均賃金の6割で支給することができない
6 就業規則があってもできないこと 216
1 法令に反することはできない
2 「管理監督者」の定義について
3 みなし労働時間制の適用について
4 裁判所が会社の判断を否定する場合がある
7 就業規則は「諸刃の剣」 219
1 「書き忘れ」は認められない
2 「書き間違い」も認められない
3 変更手続きの重要性
8 就業規則を変える場合の手続き 223
1 通常の就業規則の変更手続き
2 不利益変更をする場合の手続き
column もしも弁護士名義の内容証明が届いたら
さくいん
著者プロフィール
向井蘭
むかい・らん
1975年山形県生まれ。東北大学法学部卒業。2003年に弁護士登録。現在、杜若経営法律事務所所属。経営法曹会議会員。
企業法務を専門とし、解雇、雇止め、未払い残業代、団体交渉、労災など、使用者側の労働事件を数多く取り扱う。企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務めるほか、『企業実務』(日本実業出版社)、『ビジネスガイド』(日本法令)、『労政時報』(労務行政研究所)など数多くの労働関連紙誌に寄稿。
共著に『時間外労働と、残業代請求をめぐる諸問題』(経営書院)、単著に『社長は労働法をこう使え!』(ダイヤモンド社)、『会社は合同労組・ユニオンとこう闘え!』(日本法令)、『書式と就業規則はこう使え!』(労働調査会出版局)などがある。