■質問に最後まで耳を傾けてから答えを組み立てる

クライアントから質問を受けるときは、質問の内容に途中で見当がついても、話をさえぎったりあわてて返答したりせず、じっくりと耳を傾け、相手が話し終わるのを待ちます。クライアントが何を考え、自分からどんな結果や利益を引き出そうとしているのかを慎重に聞き取るのです。

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『オラクル流コンサルティング』 キム・ミラー著/夏井幸子訳

 ■自分の知らないことを聞かれたときは正直に「わからない」と答え、後でリサーチして答えることを約束する

どんなにコンサル経験が長くても、すべてを知り尽くすことはできません。オラクルのコンサルタントは、クライアントとの対話の中で答えがわからない質問を受けたときは、リサーチして後で答えることを前提に「わかりません」と正直に伝えます。勝手な憶測や思い込みを排除したいからです。

また質問の途中に耳慣れない業界用語などが出てくる場合があります。そのときには聞き流したり知ったかぶりすることはせずに、すぐに意味を尋ねます。その場で尋ねることによって、クライアントに対してプロジェクトには意思の疎通が最も重要だと示す効果も期待できます。

■相手の話のポイントをつかんでから答える

質問の意図がどうしてもつかめないときは、返答する前にこちらから逆質問して理解に努めます。相手の質問を自分の言葉に置き換えて、問い直すこともあります。答えを返したら、「いまのでご質問の答えになっていますか?」と聞いてみます。

質問に答えるときは、頭の中でポイントを整理し、最適な答えを見つけ出します。場合によっては自分が状況を正しく理解しているか相手に確認することもあります。

同時に不安げな態度を取っていないかに気をつけます。プロフェッショナルとしてのほどよい威厳と自信、リラックスしていることをボディランゲージで伝えれば、相手も安心して話を聞きます。

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以上、『オラクル流コンサルティング』の内容から、トップコンサルタントのスキルの一端を紹介しました。

IT業界の最先端で蓄積されてきた「ベストプラクティス」は、コンサルティングに従事するする人のみならず、顧客との信頼関係をより強固にしたい多くのビジネスパーソンの参考になる、優れた「仕事の技法」と言えます。