開業・廃業の激しい飲食店業界。開店から3年以内に閉店する割合は4~7割程度と言われており、日々生き残りをかけた激しい競争が繰り広げられています。そのため各店は、原価率の低減や客単価の上昇をめざして様々なテクニックを駆使しています。

そこで使われているのが「行動心理学」。なかでも色彩は食欲に大きな影響を及ぼすことがわかっています。今回は、飲食店がお店を繁盛させるために実行している「行動心理学に基づく“色と食”の関係」を見てみましょう。

色が食欲に及ぼす力

色彩は、私たちの食に対するイメージに大きな影響を及ぼします。たとえば、トマトやお肉の「赤」、玉ねぎやみかんの「橙(オレンジ)」、パプリカやバナナの「黄色」など、これらの色は食欲をかきたてる作用があるため、私たちにおいしそうな印象を与えてくれます。

赤をはじめとする暖色は、食欲をそそる色とされている(photo by BillionPhotos.com/fotolia)
赤をはじめとする暖色は、食欲をそそる色とされている(photo by BillionPhotos.com/fotolia)

逆に、青や黒などは食欲を減退させる色と言われています。ソーダ味のアイスや黒豆など例外はありますが、日本ではあまり食べ物には使われていません。

この理由は、

  • 赤~橙~黄色などの暖色は人に興奮をもたらし、胃液などの分泌を活発化させる
  • 青~紫・黒などの寒色は、昂りを鎮める方向に働き、消化器官の働きを低下させる

ためといわれています。

ちなみに、「色と食欲に関する感覚」は国によって若干の違いがあると言われています。たとえば、日本人の感覚からすると青や紫、虹色のケーキは「毒々しい」「なんかまずそう」といった感想をもつことがほどんどだと思います。しかし、アメリカではこうした派手なケーキが好まれています(参考:Google画像検索「派手なケーキ アメリカ」)。

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左と右、どちらがおいしそうに見えますか?(photo by pink candy/fotolia(左)/photoAC(右))

人気の飲食店がこっそり使う「色のワザ」

繁盛している飲食店は、こうした色の効能を巧みに使っています。いくつか事例をみてみましょう。