SNSや雑誌のメイクを真似してみてもなぜかうまくいかない……。その原因は、モデルに似合うメイクをそのまま自分にしているから。
まず自分と向き合うことで、自分の顔に合うメイクが自分の手でできるようになるメソッドを伝える書籍『なんとなくの自己流から抜け出す 今の自分に合うメイクの正解』(YUTA.)から一部抜粋して公開します!

 「これでいいの!?」「なんか違う……」を繰り返す日々

帰宅して、洗面台で手を洗いながら、ふと見上げた鏡に映る自分の顔を見て、ため息が出る。

「なんか疲れた顔してるな。それにしても老けたな……」思わず手で頬を引き上げてみる。

一度や二度感じただけではない。毎朝、起きて鏡を見るたびに思う。

「これでいいの!?」と思いながら、はるか昔、見様見真似で覚えたメイクでちゃちゃっと済ます。

でもイマイチパッとしなくて、だんだん厚塗りになっていく。
なんか変だな、なんか違うなっていう気がするけれど、時間もないし、とりあえず。その繰り返し。

鏡や窓に映る自分が、思っている自分と違う

小走り気味に急いで駅に着く頃には、メイクがドロドロになってる。
なんで?あの人がおすすめしてたやつ使ったし、それなりに値段のする化粧品なのに。
でも、どうせ元が違うから、しかたがないのか……。

電車の窓に映る自分から目をそらす。
朝イチで会った人に「なんか疲れてる?」なんて声をかけられた日にはイラッとして、一日中気分が落ち込む。

会社のトイレの鏡ってなんかいつもより映りがよくないと思ったり。
でも、自宅に帰っても、洗面台の照明がイマイチだから顔色が悪く見えるのかもしれないと感じたり。

いつしか鏡を見るのがつらくなっている。
ここ何年かずっとそう。

いつから鏡を見るのがつらくなったんだろう

自分の顔を見られることから目をそむけてしまう。

結婚式、パーティ、同窓会はもちろん、家族や友人たちとの集合写真でさえも。

写真を撮られるとき、自然と遠ざかってしまう自分がいる。

きっと、あきらめかけているから、自分の顔を直視できなくなっているのかもしれない。

でも、本当にあきらめているの?

いや、だって、これまでもずっとつきあってきた、これからもずっとつきあっていく自分の顔だから。

自分の顔を好きになりたい。
少しでもよくなりたいという気持ちはある。

あきらめかけているけれど、本当はあきらめたくはない

厚塗りメイクの魔女化

なんか違う。これでいいのかな? 
手応えを得られないまま重ねすぎて厚塗りになり、シミやシワを隠そう隠そうとし て魔女化していく……。

白浮きした肌にシワが目立ち、細くつり上がった眉、シワシワの薄い唇、パサついた髪。
物語に出てくる魔女のイメージってこんな感じですよね。
この要素が、少しでも入ると魔女化していきます(一方で、あきらめて薄塗りになったり、頬が下がったり、鼻が湾曲したり、口がへの字になったりするなどして魔女化するケースもあります)。

じゃあ、そうならないためにどうすればいいの?
答えは簡単。この逆になるように仕上げればいいのです。
素肌のような健康的な肌の色、ふんわり優しい立体的な眉、ふっくら血色感のある唇、ツヤとハリを感じるまとまりのある髪です。

間違ったメイクや美容を続けると、顔全体のバランスが崩れ、必要以上に老けて見えてしまいます。
無理なメイクやケアを重ねると、かえって不自然さが際立ち、「魔女」になってしまうのです。

「老けて見える」には理由があって、「シャレて見える」にはコツがあるのです。

私はよく「シャレる」という表現を使いますが、とても多くの方がこの言葉に共感してくださいます。
「おしゃれ」や「きれい」という言葉に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、内心では「今より少しでもよくなりたい」と願っている方にこそ響く言葉です。
私が考える「シャレた人」とは、健康的で、清潔感があり、ファッションやメイクに無理がなく、年齢に抗わず自然体で今を自分らしく輝いている人です。

誰でも簡単にシャレることはできます。
年齢を重ねた自分を受け入れ、今の自分に合ったお手入れやメイクをする。
ただこれだけです。

撮影現場でもモデルや女優にメイクを仕上げた際、私が「シャレたよね?」と聞くと、「うん! すごくシャレた!」と、笑顔で答えてくださる瞬間があります。
自分に自信が生まれ、心から楽しむことができる。
それが本当の「シャレる」姿です。

歳を重ねるごとに自信を持ち、無理せず自然体でいることで、誰もがもっと自分らしく、そして魅力的に輝くことができるのです。

メイクの魔法がかかる瞬間

「今日の私、なんかいいかも!」と心から思える自分に出会うためには、日常のなかでの自分のベストを知ること。

この手応えを得るためには、まずは「自分の顔」で、自分の顔に合ったメイクができるようになることです。
最初から完ぺきでなくてもかまいません。試行錯誤を重ねるなかで、少しずつ自分に合ったメイクがわかってくるものです。
「どこを引き出せばもっとよくなるかな?」と、1つずつ改善していく。
その繰り返しが、自分の顔にしっくりくるメイクが見つかる道になります。

大切なのは、今の自分をしっかり見つめること。自分の肌や顔をよく見て、しっかり考えてメイクやコスメを選ぶこと。

自分の顔を知る。具体的には、自撮りをして、自分の顔のかたちや肌の色の特徴を客観的に確認することです。

これを繰り返しやっていくと、自分をどの角度から見ても満足でき、納得するメイクがわかるようになります。

あなたにも、きっと「これだ!」と思える瞬間が訪れます。

たとえば、ある朝「このリップが私にぴったりだ!」と感じたとき、自然に笑顔がこぼれ、自信が湧き出てくるでしょう。それはメイクの魔法がかかった瞬間です。


YUTA.(ゆた)
ヘアメイクアップアーティスト。1974年大阪府生まれ。美容師としてデビュー後、テレビ大阪「スーパー美容師変身バトル」にレギュラー出演。2000年美容業界誌『ヘアモード』の年間グランプリを受賞し、SHISEIDO SABFAでノウハウや技術を磨く。その後、TVCMや『Sweet』『VERY』などのファッション誌、CDジャケット撮影などで活躍。女優やモデルをはじめ、延べ2万人以上のヘアメイクを担当。2018年には「CLEARシャンプー」のWeb版CMに出演し話題に。第一線で活躍し続けて30年、オリジナルブランド「Neuf358」の立ち上げ、コスメの商品開発アドバイザー、美容セミナー講師としても活動の幅を広げる。Instagramでは多くの共感を集め、寄せられるメッセージをきっかけに一般向けのオンライン講座を開講。1人ひとりの魅力を引き出し、メイクによって人生を好転させる「YUTA.式シャレ顔メソッド」を伝えている。