『Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]』は、ブログやwebサイトの運営によって「10年先も安定して収益をあげる」方法を真正面から解説した書籍です。著者の一人である、のんくら(早川修)さんに、自身の経験を踏まえながら執筆のねらいについて語っていただきました。

10年以上続くブログはゼロに近い

WordPressが誕生して誰でも簡単にプロのようなデザインでブログを作れるようになったこともあり、空前のブログブームが訪れています。ブログのいいところは、日々の生活中で経験したことを書いて多くの人から共感を得ることができること、誰かの役に立つことへの充実感や満足感が得られることではないでしょうか。

一生懸命書いた記事を「多くの人に読んで貰いたい」「役立ててもらいたい」と思っている方は少なくないでしょう。『Google AdSenseマネタイズの教科書[完全版]』は、ブロガーをはじめメディア運営者が明日からでも使える、上位表示できるブログの運営とマネタイズの方法を身に付けられる教科書です。

私がサイト運営を始めたのは今から15年前の2003年です。その当時は元ライブドアの社長だった堀江貴文氏がブログでのマネタイズを推奨していたこともあり、多くの方がブログを開設してアフィリエイトに取り組み始めていました。

黎明期だった当時は今のようにノウハウが精査されていなかったので、新しいノウハウが出るたびに右往左往して作業していたことを懐かしく思い出します。また、間違った情報も多く、当然ながらそれを基準にしてしまうと結果は出せません。今日まで多くのブログが出来て無くなりを繰り返しているのはそのためです。

これだけ多くのブログが生まれているにもかかわらず、10年以上続いているブログはほぼゼロに近いといっても過言ではありません。安定させることはそれほど難しいことなのです。『Google AdSenseマネタイズの教科書[完全版]』のテーマが「安定」なのはそのためです。そして、そのカギとなるのは「質の高いコンテンツを作れるかどうか」です。

進化を止めないGoogle検索

インターネットが普及し始めた当時は、ネットで買い物をすることや情報を鵜呑みにすることは危険だという意見が一般的でした。ところが時が経ちGoogle検索の精度が向上するにつれて、多く人がネットで買い物をしたり情報を入手したりすることが当たり前の時代になっています。

一方でブログの参入ハードルの低さはいつの時代も問題視されてきました。情報を発信する側は責任を持って記事を書かなくてはならないはずですが、残念なことに無責任な運営者が一部でもいると、不正確な情報やウソの情報がネット上に溢れてしまいます。

そのような状況にもかかわらずインターネットが信用を勝ち取れたのは、やはりGoogle検索の功績が大きいと思います。

Google検索は正確な情報を表示できるように日々進化を続けています。今年の初めに導入された医療アップデートがそのいい例です。医療アップデートとは、医療の専門家や専門機関が書いた記事を優先させて上位表示させる順位変動のことです。

医療に関することは人の命に関係する重大な情報です。不正確な医療情報を鵜呑みにすれば命を落とすことにつながりかねません。このアップデートが導入されたことで、従来のアルゴリズムにそってSEOが最適化されていても、権威性がない記事は上位表示されなくなったのです。

このように、いつの時代もネットユーザーが求める正しい情報を上位に表示しようというのがGoogleの目指している未来像です。したがって、Googleが上位に表示しようとする質の高いメディアを運営することが長く生き残るための最大の秘訣です。

ブラックなマネタイズ手法は続かない

それでは質の高いメディアを運営するにはどのように考えて行動すればいいのでしょうか。

私がサイト運営を始めてから数年間は、順位変動を受けやすいアルゴリズムの隙間をつくいわゆるブラック手法と呼ばれるマネタイズ手法を採用していました。なぜなら手間ひまをかけずに短期間で大きく稼げるからです。

Googleは検索順位の決定に200以上ものシグナルを用いています。これらをアルゴリズムと言いますが、実はその多くが非公表です。そのため上位表示に有効なアルゴリズムを見つけ出してコンテンツに盛り込むことができればライバルにだって簡単に勝つことが出来るのです。

当時の私は、ネットで有効なアルゴリズムの情報コンテンツを探しては影響力の高いものを見つけ出し、コンテンツに盛り込んで収益をあげる手法をとっていました。しかし、このような裏をかく手法はいずれGoogleに対策されてしまいます。これではイタチごっこでしかなく収益が安定することはありませんでした。

私もそうでしたが、短期間で一気に稼げる方法と、時間をかけて小さな結果を積み重ねる方法があれば、初心者の多くは前者を選んでしまう傾向にあります。そんな初心者の心理に付け込んだ悪質なセミナーや塾などに大量のお金をつぎ込む人が後を絶たないのもそのことを裏付けています。

短期で稼ぐことを求めるとどうしても焦りが生まれます。その結果、安易な方法を採用してしまうことはとても危険です。短期間で収益が上がる手法は、一方で短期間で収益が下がってしまう手法でもあります。私はそれに気づくまで2年もかけてしまったのです。収益を上げることが第一の目標になって、いい物やサービスを人に提供した先に利益があるというビジネスの原則を忘れていたのです。

読者のことを最優先に考える

「自分さえよければ」「儲かりさえすれば」というユーザーを無視した自己都合的な手法はGoogleが最も嫌います。私自身はそのことを頭では分かっていましたが、どうしても自分の欲に勝てなかったのだと思います。

私が10年以上サイト運営に取り組んできた中で気づいたことは、自分本位でなく常にユーザーを中心に物事を考えることができていれば、たとえ時間がかかったとしてもGoogleから高い評価を必ず得られるということです。

ブログを始めた頃に参考にした本は、短期間で大きく稼ぐためにはどうしたらいいか、といった内容でした。自分が短期間で大きく稼ぎたいと思って手に取ったのでしょう。当時は気づくことさえできませんでしたが、今ではどういった手法を採用するかで将来の結果は大きく変わることを痛感しています。

私は変化の激しいインターネット業界の中で10年以上も生き残ることができました。そのためにどのようなことを考えて実践してきたのか。本書ではサイト運営やマネタイズで成功している著者たちが惜しげもなくそのノウハウを紹介しています。

運よくサイト運営の王道にたどり着くことが出来た私ですが、間違ったやり方を続けていたら道半ばで諦めてしまっていたかもしれません。もしあなたが10年先も生き残るための真のノウハウを知りたいと思われたのなら、ぜひ本書を手に取っていただきたいと思います。


著者プロフィール

のんくら(早川修)

1973年滋賀県生まれ。アフィリエイト黎明期の2003年からサイト運営をはじめる。収益の6割以上がアドセンスという「アドセンサー」の先駆者。日本アフィリエイト協議会の「アフィリエイトValuablePlayer2016アフィリエイター部門」を受賞。アフィリエイトの他、企業や個人のウェブサイトのプロデュース&コンサルティング、企業アプリのデータ開発におけるエグゼクティブアドバイザーを務めるなど幅広くIT業界で活躍中。ウェブサイト制作やマネタイズに関するワークショップの開催やASP主催のセミナーの講師の実績あり。