子ども写真は子どもの目線の高さで撮るのが基本です。そうすることで子どもの生き生きとした表情がとらえられます。そして背景に写るものを見ながらほんのちょっとアングルを変えるだけで、同じ場所で撮っても写真の見栄えが全然違ってくるのです。

(フォトレッスンにて、椎名さん談)

子どもより身長の高い親が立ったままで撮ると、どうしても周りの地面が写り、全体の印象が奥行きのない、せせこましいものになってしまいます。上図中・上の写真では子どもの目線の高さに合わせて撮られていますが、それでも地面の写る面積が多くなっているのがわかると思います。

ですが、子どもの目線より低い位置から撮るようにすると顔の周りに明るい空が写りこむので、奥行きが感じられるさわやかな写真が撮れます。とはいえ、撮るために地面に寝転ぶまではしなくとも構いません。しゃがんだ状態からスマホやカメラの位置を少し下げて、子どもを見上げるような角度で撮ってあげる(専門的な言い方をすると「あおり気味で撮る」)だけで、このような印象が全然違う写真になります。

構図は後から切り取って調整できる

思い通りの写真を撮るもう一つの手段として「後からトリミングして調整する」という方法があります。写真用語としてのトリミングとは「画像の不必要なところを切り落とすこと」を意味します。

今回行われたレッスンでは事前に参加者から講評用の写真を送ってもらい、事前に椎名さんがトリミング等の加工を施し、ビフォーアフターを解説していました。この写真はその時の1枚です。

(photo by emi yamanaka)

トリミング前の写真。きれいなコスモス畑と可愛い女の子。SNS映えする要素があるのに、写真に知らない人が写りこんでいたりして何となくイマイチな感じがします。この写真をトリミングしたのがこちら。

(photo by emi yamanaka)

比べてみてどうでしょうか? 大胆に縦にトリミングすることで「コスモス畑の中にたたずむ女の子」がクローズアップされ、「何を撮ろうとした写真なのか」ハッキリとわかるようになっています。

このように、後から不要な部分を切り落とすことで、構図を整えることができます。子ども写真でも、あらかじめ広い範囲を写真におさめておき、後から必要な部分だけ残せば写真としての完成度を上げられます。

また、このテクニックは運動会や公園などで走り回る子どもを撮ろうとしたときに起こりがちな「見切れ(手や足の一部が中途半端に切れてしまう失敗)」を防ぐにも有効です。 なお、トリミングを前提にカメラで撮影する場合は、記録画像サイズの設定を「L」サイズにしておきましょう

ワンランク上の「光の使い方」

もう一つ、撮るときに意識したいのが「光」の使い方。撮りたいイメージや写真の用途にもよりますが、一般的に人を撮るときは顔が明るく写るように撮った方が綺麗に見えます。

「顔を明るく撮るには、太陽や電灯などの光が被写体の正面から当たるようにすればいい」と考える人も多いと思います。この方法は必ずしも正しい方法ではありません。下の写真を見てください。

(本書P.53より)

左が被写体の正面から光が当たる(順光)ように、右が被写体の背後から光がくる(逆光)ように、同じ場所・同じ時間に撮られたものです。見比べると、順光で撮った左側は確かに親子の顔が明るく写っていますが、お母さんの顔にくっきりとした影があったり、お子さんもどことなくまぶしそうな表情をしています。

一方、逆光の右側は全体的に明るく写っているため顔に影も出ず、お子さんの背中の輪郭が薄く光って見えるため、どことなくやさしい雰囲気が出ています。では、どうしてこうも違うのか、その理由を見てみましょう。

光の当たり方の違いと特徴

光の当たり方とそれぞれの特徴を見てみましょう。被写体に対する光の当たり方と位置関係、その特徴は以下のようになります。

(本書P.52より)

ここで逆光の説明のところに「逆光とプラスの露出補正でキラキラに」とありますが、ただ単に逆光で撮っただけでは、全体的に暗い写真になってしまいます。それを上図の男の子や先ほどの桜の木の下の写真のようにするには「露出補正」を行い、写真全体を明るくする必要があります(露出補正の設定方法はカメラやスマホの機種によって異なるため、それぞれマニュアルを参照してください)。

(本書P.53より)

あと、ここまでの説明で「逆光が○で順光は×」という印象を受けるかもしれませんが、下のような青空を背景にした元気な子ども写真を撮りたい場合や、色や形をくっきりと写したいときは順光で撮りましょう。


以上、子どもをかわいく撮るコツをいくつか紹介しました。写真を上手に撮るためにはシャッタースピードや「f値」と呼ばれる絞り、ホワイトバランスの設定などいろいろ覚えることも多くあり、これらについても本書でわかりやすく解説しています。

上達への一番の近道は構図と光に意識して数多く撮り、写真に慣れることです。本書とカメラをお供にして、かわいいお子さんの写真をたくさん撮っているうちに、あなたもステキなママカメラマンになれることでしょう。

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