以前から新築区分のワンルームマンション投資は利益が薄く、赤字になるような案件も多いのですが、販売業者は医師や士業、高属性のサラリーマン向けに「節税対策」と称して営業をかけます。池袋や新宿などのターミナル駅のそばにある喫茶店で、そうした営業マンがサラリーマンを口説いているのはよく見られる光景です。

こうして、都心部の不動産投資では、明らかに高値づかみをしてしまう投資家が多いのです。

借り手はいる、しかもライバルは少ない

よく、「田舎の物件は本当に借り手がいるんでしょうか?」という質問を受けます。

私は、たった1~2両の列車しか走っていない関東鉄道常総線で、駅から徒歩10分にある昭和62年築の物件を所有していました。オオスズメバチ、ヘビ、ヤモリが出てくるエリアの物件です。夜道は真っ暗で、片側斜面に建っていました。そんな物件を200万円で購入しましたが、大きなリフォームをしなくとも入居者で埋まっていました。

家賃は5万9000円、4LDKで駐車場が付いています。ターゲットは、私の予想通りだったのですが、「裕福ではない子だくさんのファミリー」「ゆったり暮らしたい老夫婦」「ペットを買っている人」です。結果的には、ペット2匹を飼っている老夫婦が住むことになり、家賃も5000円アップの6万4000円で決まりました。読者のみなさんが思っている以上に借り手はいるのです。

つまり、エリアの問題がすべてではないということです。実際、北海道の網走の物件でも、東京の投資家が買っているという話を聞いたことがあります。おそらく、私と同じように、最低限の賃貸需要はあって、入居者がファミリーだったり老夫婦だったりすれば、しばらくは出ていかないだろうなと判断しているのだと思います。

広い戸建てに住むと、荷物が多くなるので引っ越しが億劫になります。借主の移動が少ないのは投資家にとってはメリットです。これが、単身向けのアパートで部屋が狭小だとしたら、借主をめぐる競争は激化します。田舎にある単身向けの狭小物件は、そもそも需要も少ないので家賃1万円台に下がる可能性もあります。

もし、戸建てとアパートが同じ賃料になった場合、ほとんどは戸建てに流れるはずです。騒音を気にせずにすみますし、「ペット可」などで自由度が高くなるからです。とくにファミリーの場合は顕著でしょう。そういう物件をきちんと管理して、適切にメンテナンスすれば、空室を恐れることはありません。

また、地方はパイが少ない分、競争相手も少ないという大きなメリットがあります。ライバルも高齢者の地主など、戦略を立てれば勝てる相手ばかりです。公共の金融機関を利用して安く買い、空き室を埋めさえすれば、利回り30%超えを達成することも可能なのです。

300万円以内で、利回り20%以上の物件を選ぶ

勘違いしている人が多いのですが、家賃収入と支出の差額であるキャッシュフローは“おまけ”にすぎません。買ったらそれで終わりと考えている人があまりに多いのですが、不動産投資では売却したときにはじめて事業が儲かったかどうかがわかります。

私の売却の考え方は、購入金額を「回収できればいい」というものです。利回り20%の物件であれば、5年で回収できるわけです。たとえ田舎でも、相場1000万円の物件を500万円で市場に出したら売れるわけですし、場合によっては更地にして土地を売るという選択もあります。

それゆえ、私が提唱している投資法の要諦は、「売ることを意識して買う」ということです。利回りが30%なら4年、15%なら7年持つことを最初から決めておくのです。あとは土地の値段さえ聞いておけば、すでに購入金額を回収しているので、売却したときに損するのではないかと憂慮しなくてもいいのです。

「田舎だから入居者が決まらない」「ペット可だと面倒なことになりそう」というような先入観は捨てて、まず買ってみてください。すべてはそこからなのです。

以上、大まかに「地方・ボロボロ一戸建て」物件で運用するメリットをお話ししました。物件探しのポイントや空き室を確実に埋めるノウハウなどは、著書で詳細に解説しています。

低リスクでスタートでき、地道に続けていけば結果を出しやすい投資法と確信しています。


黒崎裕之 (くろさき ひろゆき)

元不動産営業マン。低リスク・高利回りで不動産を運用する個人投資家。石川県金沢市出身。家業が不動産を扱っていたが、過去に家族が不動産の取り扱いに失敗し1億円を超える相続税を課され、その支払いに大変苦労した。その経験から、同じ轍を踏むまいと上京後に不動産の世界に飛び込んだ大手総合不動産会社の元社員。

「買う人の気持ちのわかる営業マン」として数々の営業成績を残す。新築マンション販売時は常に全社10位以内の上位成績を誇り、半期での営業成績トップも複数回記録。個人投資家としても自己資金を使わずに不動産投資をはじめ、現在9棟2室7軒、平均利回り30%で運用中。ただ売るだけでなく、不動産を買う側の心理の理解にも努めるべく不動産投資を実践している。

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