(photo by RRice/photoAC)
無駄な仕事なんてない(photo by RRice/photoAC)

「やりたい仕事だけをする」の落とし穴は……

しかし、賛否はあるかもしれませんが、当時の会社の方針は「まずは目の前の仕事で結果を出せ」でした。

そこに、新人の気持ちと大きなズレが出るんですよね。当たり前のことですが、結局、基礎を学ぶための修行ともいえる期間がどのような仕事にもあります。

そこに気づかないと、「思っていた仕事と違う」という悩みに囚われ、その場で足踏みをするだけになってしまいます。

地味で、しかも自分の望んでいなかった仕事は、やりたくない人が多いでしょう。しかし、「自分のやりたい仕事だけをする」ことには落とし穴があります。

それは現時点での、自分がやりたいと思う範囲でしか物事を考えられていないということです。

「仕事」というものを、一面的に見るべきではありません。ある仕事をこなすことで培ったスキルは、違う種類の仕事でも必ず役に立ちます。“今”の自分にとっては、重要性を感じない仕事が、自分が想像していた以上の仕事につながる可能性もあるのです。そこを考えないまま、知らないままに、仕事がつまらないからと辞めてしまうのは、とてももったいないことだと思います。

そんなときにすすめたいのが、「今、自分が任されている仕事は何につながるのか? どんな学びになるのか?」を理解するために、「仕事」の全体像を俯瞰してみることです。

ギャップを感じた時に、どう動くかが大事

といっても、経験の少ない若者で仕事の意味を完全に理解し、かつそれを元に自分のキャリアを描けるという人は、まずいないと思います。

だから、そういうときは上司の人間性に着目してください。「この人の言う事ならば信じても良い」と思えるならば、つまらない仕事でも一生懸命やることです。そうすることで、もっていた理想とは違う、新しい何かが必ず見えます。

仕事のできる人は必ず、「あぁ、あの仕事はこういう意味だったのか」と気づく体験を持っています。でもそれは5年後、10年後。

仕事とはそういうものです。

「ドラゴンボール」というマンガをご存知でしょうか。

野生児だった主人公の孫悟空は、クリリンとともに、拳法を学びに、亀仙人に弟子入りします。

ですが、亀仙人は地味な体力づくりばかり二人にやらせ、拳法をろくに教えません。

二人は「自分は本当に強くなっているのだろうか?」と不安に思いますが、弟子入りした以上仕方がない。亀仙人を信じてひたすら修行に励むのです。

そして、ついに拳法を少しも教わることなく迎えた「天下一武道会」。

彼らは大会に出て初めて、「自分が何をしてきたのか」「修行にどんな意味があったか」を、悟るのです。

 似たようなエピソードはそれこそ、世界中にあります。「何かを身につける」ことの本質は、国境、人種を超えて普遍的なものなのだと思います。

したがって、

「成長途上にある人物は、自分の成長を自覚することはほとんどない」

「仕事の本質は、今すぐにはわからない。将来わかる。」

この事実を理解することがとても重要です。

結局、上司に恵まれるか、そして自分の理想とする「仕事」とのギャップをいかに柔軟に受け止められるかという2つのことが、重要なのです。

**

次回は、「上司に見放された問題児社員が、トップ営業に変わった理由」です。

(11月10日(木)公開予定)



プロフィール

安達裕哉(あだち ゆうや)

経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。
1975年東京都生まれ。筑波大学環境科学研究科修了。世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間経営コンサルティングに従事。在職中、社内ベンチャーであるトーマツイノベーション株式会社の立ち上げに参画。東京支社長、大阪支社長を歴任。1000社以上の大企業、中小企業にIT・人事のアドバイザリーサービスを提供し、8000人以上のビジネスパーソンに会う。また、セミナーは、のべ500回以上行う。その後、起業。自身の運営するブログBooks&Appsは読者100万人、月間PV数150万にのぼり、世界最大級のインターネット新聞「ハフィントン・ポスト」のブロガーでもある。
主な著書に、『「仕事ができるやつ」になる最短の道』(日本実業出版社)がある。

知と知をつなぐブログ Books&Apps
http://blog.tinect.jp/