多くの企業で4月は新年度、今までの仕事が認められて、新たにチームリーダーとなり、部下をもった人もいるでしょう。しかし、いざ仕事が動き始めると、自分が忙しいばかりで部下は動かず、チームとしての成果がなかなか上がらない、などということも多いのでは?

『今いる仲間で「勝手に稼ぐチーム」をつくる』の著者である池本克之氏は、その理由を「有能なプレイヤーと優秀なリーダーは違うからだ」と、断言しています。仕事のできるリーダーがいるチームが、必ずしも良い結果を出せるとは限らない。むしろチームが迷走する可能性が高いのだとか。その考えは、ご自身の苦い経験からきているそうです。

チームを率いるリーダーとして、気をつけるべき3つのポイントを、池本氏の著書より、見ていきましょう。

「自分が働けばいい」は失敗の第一歩

池本氏は大学を卒業後、中堅のリース会社に入社し、2年目にして部下7人を任されるリーダーとなりました。

資金調達部門でリーダーとなった氏は、部下がやるべき仕事を、ほとんど自分で行なっていました。それは、部下をまったく信用せず、「自分がやったほうが正確だし、いいものをつくれる」という自負があったからです。

いま考えると、「仕事を取り上げていた」と言ったほうが正確だったかもしれない……、と池本氏は本書の中で述べています。

部下が帰ってからは、毎晩終電間際まで7人分の仕事をして、それでも終わらなければ、翌朝は始発で出社。睡眠時間は3~4時間。
部下が仕事で成果を出しても褒めもせず、「教えてもどうせわからないだろうし」と見下し、ある日、部下が一斉に「辞めます」と言い出しても不思議ではない状況だったそうです。

どんなにやる気のある人でも、最後まで仕事を任せられなければ達成感を得られず、仕事に対するモチベーションも下がります。また、自分のことを認めてくれない上司を信頼することもなく、「どうせ、上司が残りの仕事をするのだから」と、成果を出すことに対しての責任をもたなくなります。

池本氏は自身の失敗から、リーダーとして部下と関わるうえで、以下のポイントに気をつけるべきだと述べています。

Point1. 人に仕事を任せよう

池本氏も体験したように、有能な人は、「他の人に仕事を頼むより、自分でやってしまった方が早い」と考えがちです。

実際に、部下に仕事を任せたものの、教えることに時間をとられたり、何度もやり直しが必要になるなど、結果として二度手間になってしまうことがあります。そのようなときに、仕事ができる人にとっては、「人に仕事を任せない」というのが仕事を進めるには一番早い方法かもしれません。

しかし、どんなに有能なリーダーでも、1人でできる仕事量・稼げる金額は限られています。
1人のリーダーが2倍、3倍働いたとしても、2人分、3人分にしかなりませんが、5人のスタッフが50%増しの力で働けば8人分ぐらいの力となり、結果的に効率のよいチームをつくることとなるのです。

有能なリーダーが1人いるだけでは、組織の業績は上がりません。リーダが一人前でも、スタッフがみな半人前だったら、チームとしては半人前になってしまうのです。
(本書21ページより)