Point2. 人に教えよう

人が最も早く成長する方法は、「人に教える」ことです。

自分自身の能力を高めるために、ビジネス書を読んだり、スキルを身につけるためのセミナーに通う方法もあります。しかし、それだけでは、ある程度の個人としての成長はあっても、リーダーとして伸び悩むことも多いのです。

人に教えようとせず、自分ですべてやってしまう有能なリーダーのチームでは何が起きるのでしょう?

スタッフは自分の仕事の意味もわからず、仕事のやりがいもかんじられず、ただ言われたとおりのことをやるだけなので、いつまでたっても自分で仕事を見つけるようにはなりません。
リーダーはそんなスタッフの姿を見て、「どうしてみんな、やる気になってくれないんだ?」と不信感を募らせます。

結果的にチームワークが悪くなり、業績不振につながるのです。
(本書22ページより)

自身の研鑚のみに終始するのではなく、人に何かを教えてみることで、あらたに気づけることがたくさんあります。

たとえば、実際に人に何かを教えてみると、自分の指示したことの半分も伝わればいいほうで、2~3割しか伝わらない場合がほとんどのことに気づきます。そこで「どうしたら伝わるか」「どのような言い方をすれば理解してもらえるか」と考えながら教えることで、コミュニケーション力は格段にアップします。

また、人に教えていくなかで、自分が何を理解し、何を理解していなかったのかを知ることができます。わかったような気になっていただけで、実はわかっていなかった仕事というのは、意外とたくさんあるものです。それを、あらためて勉強し直し、正しい情報を部下と共有することが、結果的にリーダーの成長に、ひいてはチーム全体の成長へとつながります。

Point3. 人を信用しよう

人に仕事を任せられないリーダーというのは、人を信用できていないともいえます。

人に任せられないからと、部下の仕事にまで手をだす。自分がやればいいからと教育もしないので、任せられる部下が育たず、新たな仕事が追加されるだけ……。これでは、いくら時間があっても足りず、いずれ限界がおとずれます。

せめて、ナンバー2の部下に新人たちの教育をしてもらえばいいのですが、有能なリーダーはそこも信用できず、あれこれと口出しをして、「やっぱり任せられない」という結論になってしまいます。また、相手を信用していないと自分も信用してもらえないので、お互いに信頼関係が築けないチームができあがってしまいます。

やがて仕事は後手後手に回り、業績は上がるどころか落ちていくことに……。
「人を信用する」ことなしに、チームとして成果をだすのは不可能といえます。

(photo by Anton すしぱく/PAKUTASO)
人を信用しないと、自分の首をしめることに…(photo by Anton すしぱく/PAKUTASO)

 

もし、あなたの部下がやる気のない状態になっていたら、不満に思う前に自身の在り方を振り返ってみてはどうでしょう。それをキッカケに部下といい関係が築けるかもしれません。

そして、誰か1人のエースが稼ぐのではなく、チームとして成果を出す体制をつくること。それが、リーダーとしての役割だと池本氏は言います。『今いる仲間で「勝手に稼ぐチーム」をつくる』の中では、さらにチームメンバーを「自分で課題を見つけ」「自ら動く」、「勝手に稼ぐチーム」に変える「独自の手法」を紹介しています。

部下との関係や、チームとしての成果に悩むリーダーの方にとって、役立つ一冊ではないでしょうか。