では、単純にどこのビールメーカーが人気かと言えば、いままでのアンケートや筆者の経験に基づけば、女性にはサントリーのモルツ、男性にはアサヒビールです。居酒屋のビールブランドとしては、やはり「スーパードライ」の人気が絶大です。

また、ビールの味は、管理や注ぎ方でも変わってきます。では、どこで見るかと言えば、ジョッキの壁面に“エンジェルリング”があるかないかです。つまり、生ビールを飲み進めると、ジョッキやグラスの上部に泡のリングが残りますが、普通なら、3、4層のリング状の泡が壁面に残ります。しかし、ジョッキの洗浄の仕方が甘かったり、悪ければ、このリングは残りません。

特に、ジョッキやグラスをスポンジで手洗いせず、食器洗浄機でまとめて洗うと、どうしても表面に汚れが残ってしまい、その汚れでエンジェルリングができなくなってしまうのです。そして、サーバーとタンクの管理状態が重要です。サーバー自体も洗浄しますが、洗浄がしっかりされていない場合には、ビールに雑味が出てしまいます。

あと、タンクは揺れと直射日光はダメ。よく酒屋の車の荷台にカバーがかかっていますが、あれは日光を避けているためです。だから、ビールタンクを無造作に外に置きっ放しのお店は、まず管理ができていないと言えます。このように、居酒屋の意識は、まず生ビールに表われると言っても過言ではありません。

要するに、生ビールがまずいお店は、料理も美味しいはずがない、残念なお店なのです。

ラーメン屋はこう見抜く

定番の人気のラーメン屋は明らかに、チェーン店より個人店に軍配が上がります。ラーメンほど好みが分かれる業態もないので、一概に判断するのは難しいところですが、やはり個人店のほうが美味しいお店である可能性は高いのです。

ラーメン屋は、3年で9割が撤退するという厳しいビジネスです。繁盛店は8坪で月商800万円にもなりますが、通常は100万円~150万円の売上です。よって、この激戦の業界で3年以上続いていれば、まずハズレがないと言えます。

チェーン店はそもそも、スープの味を均一化するためにスープやチャーシュー、麺までイチから手づくりするお店が少ないのです。

お店に入ったら、厨房に置いてある寸胴鍋の中身を何気なく覗いてみてください。これで、スープが手づくりか、できあいのスープなのか、もしくはできあいでも手を加えているかどうかがわかります。もし、鍋の中に豚骨や鶏がら、ネギなどの具材が浮かんでいれば、間違いなく自家製もしくは手を加えているスープということになり、良いお店です。

また、設備や構造面では、繁盛店ならお客さんがかなり入ってくるので、カウンター席の間隔を詰めています。

個人経営のラーメン屋は椅子で見抜け!(photo by glow/photoac)

この席数の設定は、開店時、工事のときから決まっているので、はじめて開業する自信のない経営者のお店は、はじめから席が少なく設定され、結果的に空間に余裕が出ます。自信があっても成功が難しい業界なのに、はじめから自信がないようでは、とても期待できません。

さらに、これはラーメン屋に限らず中華料理店などでもそうですが、フロアの床が塩ビタイルのお店をたまに見かけます。これでは床が油でベタベタになります。一度でもラーメン屋や中華料理店の経営に携わっていれば、床が塩ビタイルだと清掃しにくいことを知っているはずですから、そのようなタイルを使用することはまずありません。


本記事では「ファミレス・定食屋」「居酒屋」「ラーメン屋」についてみてみましたが、もちろん「回転寿司」「イタリアン」「ステーキ屋」など、ほかの業態においても「残念ポイントの見分け方」は存在します。興味のある方は、本書の方も読んでみてください。