根拠は、まず「ウリとなっている大きさ」。そして「糞化石の内部には小さな骨片が含まれている=肉食であったということ」です。同じ地層から見つかる肉食動物の化石で、これほど大きな糞を排出することができそうな生き物はただ一種、ティラノサウルスだけだというわけです。

特別展「恐竜化石研究所」に展示中のティラノサウルス糞化石(カナダ・ロイヤルサスカチュワン博物館蔵、筆者撮影)

先程の「なぜ、ティラノサウルスの糞だと言えるのか?」という疑問を持ってくれた方は、詳細な観察と状況証拠を組み合わせて落とし主を特定したことを理解して、妙に納得してくれます。そして、改めて糞化石を見て「よく気付いたなぁ」といった別の感動をしてくれるわけです。実際、発掘した地域の地層やそこから見つかる化石を熟知していた古生物学者だからこそできた発見といえるでしょう。

対象物を見て、「きれいだ、大きいな」と言っているうちはまだ表面的な魅力に目を奪われているだけです。しかし、知識や興味とリンクできれば、感動ポイントをシフトさせられるだけでなく発見につながっていくのです。見過ごされていたとしても不思議ではない石を発見に導く。地球科学の楽しみは、そういうところにもあるのです。


今回は、「ブラタモリと地層と化石」という観点から、地球科学の面白さを解説していただきました。次回はまた新たなる視点から、より深く解説していただきますのでお楽しみに!
(第2回目の記事はこちら)

なお、名古屋市科学館では、西本さんが企画された特別展を開催中です。文中でも数点写真でご紹介しましたが、実物はより迫力があります。近隣在住の方、またGWの帰省や旅行で名古屋に行かれる方は、是非足を運んでみてください。

名古屋市科学館 特別展「恐竜・化石研究所」開催中!

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(画像は、特別展「恐竜・化石研究所」公式サイトよりキャプチャ)

開催期間:2016/3/19(土)~2016/6/12(日)
開館時間:午前9:30~午後5:00(入場は午後4:30まで)
休館日:毎週月曜日(ただし3/21,5/2は開館)、3/22(火)、4/15(金)、5/10(火)、5/20(金)

※その他、会場までのアクセス、入場料等につきましては下記公式サイトをご参照ください。
名古屋市科学館「恐竜・化石研究所」特設ページ