外国人から見れば、その辺の繁華街も観光名所!?
外国人から見れば、その辺の繁華街も観光名所!?(photo by filipefrazao/fotolia)

スマホやデジカメの普及により、いまやいたる所で「自撮り」や「料理撮影」をする人がいます。なかには、ところ構わずカメラやスマホを構える姿を見て眉をひそめる人もいますが、宣伝という観点からみたら、これほど嬉しいことはありません。

小野氏は、こういったいたる所で写真を撮る観光客を「フラッシュツーリスト」と呼んでいます。撮影した風景や食事の写真をTwitterやFacebook、そして現在人気急上昇中の写真に特化したSNS「Instagram」にアップ&シェアするのが目的の人たちで、ネットFIT層に多く見られるのが特徴です。

「フラッシュ」には「見せびらかす」という意味もあります。フラッシュツーリストは旅行中の様子をネットの向こうの友人や知人、または見知らぬ不特定多数の人に向けて絶えず発信しているので、その投稿を通じて日本各地の情報が世界中に拡散していくケースが非常に多くなってきています。観光業に携わる人は、意識しておく必要 があるでしょう。

集客とLGBT

LGBTとはレズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシャル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字をつなげ合わせた言葉で、性的マイノリティーと呼ばれる方々を指します。日本でも年々、性的志向の多様性を認める動きが高まっていますが、「集客・接客において何か特別な対応を考える必要があるのだろうか」と悩む宿泊業者の人もいることでしょう。

小野氏の調査によると東京の新宿や六本木のホテルでは、同性愛カップルの宿泊者はすでに多くいるようです。その際の対応も含めて、以下に引用します。

東京の新宿や六本木のホテルでは、同性愛カップルの宿泊者はすでに多くいるようです。

集客のコツではありませんが、あるホテル支配人にどのような対応をしているのか、尋ねてみたところ「普段通りに接する」ことが大切だということです。それによりLGBTからの好意的なクチコミが増えて、新たなLGBTの宿泊客を取り込むことができるケースがあります。

特に何かをしなくてはならない、というわけではなく、明確にLGBTの宿泊客を拒否していない、特別視していない、という雰囲気をホテルが持てているかどうかが肝心だと思います。日本だとまだ特別視される傾向がありますが、彼ら彼女らは普通だと思っているので、ほかのお客様と同じように扱ってもらえるものと考えています。

(『ネット活用でここまで変わる! 外国人観光客を呼び込む方法』p.171-172より)

また、この層は基本的に子どもがおらず共働きの家庭が多いため観光に費やす金額も平均よりも高く、全世界では100兆円規模になるとも言われています。少子高齢化が進むなか、LGBT市場を対象としたマーケティング活動をどう行なうかについても、今後のインバウンド市場における差別化戦略の1つになります。


外国人観光客の中には、都心部や一部の観光地だけでなく、リピーターを中心に「日本らしさ」を求めて、よりディープなスポットを求めている人が増えています。その意味では、日本全国どの場所にも外国人観光客の集客のチャンスがあると言えるでしょう。