中村氏はこの解釈について「今後さらなる検証が必要かもしれないが」とことわっていますが、とても興味深い現象ですね。

ココナッツオイルは「いつから」「なぜ」売れた!?

いまでは都内の大きめのスーパーでは必ずと言っていいほど売られているココナッツオイルの、検索頻度の推移を見てみましょう(下図)。

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『クックパッドのデータ分析力』105ページより

 ココナッツオイルは2013年から検索頻度がじわじわと上昇していて、2014年に入ってからその傾向が顕著になり、その年の4月以降に急上昇しているのがわかります。

この間に何があったかというと、2014年の1月に、タイトルにその名前を含む最初の料理本『アルツハイマーの改善&予防に! ココナッツオイルでボケずに健康』(主婦の友社)が発売され、4月末にその効能がテレビで取り上げられました。その後は次々にメディアで紹介され、一大ブームとなりました。

 ピンポイントで検索が上昇した日付も確認できるため、日付とキーワードでインターネット検索を行なえば、どのような事象がきっかけで一層の注目を浴びたのか、特定することが可能だ。
(104ページ)

ブームのきっかけや原因に関する情報を正確に知ることは、次の“仕掛け”にとってとても有益でしょう。

ココナッツオイルに関してもうひとつ面白いのは、ブームの前後で、組み合わせて検索される単語がかなり違っていることです。ブーム前は「クッキー」などのお菓子が中心だったのが、ブーム後は「ドレッシング」「カレー」「パスタ」の頻度が上昇しています。またブーム後には、若年層が検索する例が増えるという現象も起きたそうです。

つまりココナッツオイルは、もともとは年配の方むけのアンチエイジングに役立つものとして認知されましたが、その後はダイエットなどへの効用が注目され若者へと拡がった。こんな経緯も、データ分析によってわかるのです。

「きてるランキング」「くるかもランキング」が提供するもの

「たべみるLite」というサービスがあります。これは「たべみる」が提供するデータを小売業の販売や仕入れなどの担当者向けに最適化したもので、机でPCに向かう時間が取れない担当者が利用しやすいように、スマートフォン向けのサービスになっています。

ログインすると、すぐに「きてるランキング」を見ることができます。店舗がある地域で検索されているメニューや食材がランキング表示され、キーワードを選ぶと「組み合わせ検索」の上位語と、それを使った人気のレシピを見ることもできるという便利なもの。「いま、ここで、何が」注目されているかという生活者のニーズがわかり、効果的な売り場づくりの助けとなります。

『クックパッドのデータ分析力』124,125ページより
『クックパッドのデータ分析力』124,125ページより

また「くるかもランキング」は過去のデータをもとに、指定した季節に検索が増加する傾向のあるメニューなどが、ランキング表示されます。