人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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穴水の長氏

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2026/08/04 10:11

能登の2軒の旧家を訪ねた後は、七尾線で七尾駅に行き、さらにのと鉄道に乗り換えて終点の穴水駅を訪れた。穴水はカキの養殖などで知られる漁師町で、立ち寄った地元のスーパーには「チカイ」「コゾクラ」という聞いたことのない名前の魚が100円~160円という安価で並んでいた。あとで調べると「チカイ」は「メジナ」、「コゾクラ」はブリの幼魚とのこと。

穴水港

さて、穴水という地名は平安時代の歴史書『日本後紀』にも登場するなど古代から栄えており、中世には穴水城に拠る長氏が割拠していた。長氏は清和源氏と伝える。孝頼が大和国に住んで長谷部氏を称したのが祖で、為連が三河国長馬(愛知県岡崎市)に住んで長馬氏を名乗り、その子信連が遠江国長村(静岡県)で生まれたため長氏を称したという。

信連は以仁王に属し、『源平盛衰記』にも登場する。のち源頼朝に仕えて能登国大屋荘(石川県輪島市・穴水町付近)の地頭となった。室町時代には能登畠山氏のもとで守護代となり、戦国時代に上杉謙信によって能登畠山氏が滅亡すると、長綱連は畠山氏に代わって七尾城を守っている。

しかし七尾城は陥落、脱出した長連龍(好連)は織田信長のもとで長氏を再興し、江戸時代は加賀藩家老となって、陪臣ながら3万3000石という大名並の大身となった。

穴水駅から10分ほど歩いた穴水城の麓には長氏の祖長谷部信連を祀る長谷部神社があり、境内には加賀藩家老長連頼が建立した信連社堂(御影堂)もある。

この日はたまたまお祭りの準備で地元の方が大勢集まっており、部外者は邪魔をしないように少し離れたところから写真だけとって退散した。

長谷部神社
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