人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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小豆島と豊島

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2026/03/17 10:10

土庄港

小豆島、豊島、直島と瀬戸内の島を巡って来た。新幹線の岡山駅からバスで新岡山港に出、フェリーで小豆島へ。海とは思えないベタ凪のなか1時間ほどで小豆島の玄関口土庄港に入る。小豆島に来るのは小学校の修学旅行以来52年振りで、今人気のエンジェルロードの真ん前のホテルに泊まった。ここだと部屋の窓からトンボロの様子をみることができる。

エンジェルロードの夕暮れ

トンボロは西伊豆の堂ヶ島が有名で、ここでは1日に干潮の1時間ほど沖の三四郎島まで200mほどの道が現れる。実は現在は橋でつながっている江ノ島でも、大潮の時にだけ橋の下の砂洲が対岸の江ノ島にまで伸び歩いて渡ることができる。これに対して、小豆島のエンジェルロードはつながっている時間が長い。1日2回、各3時間ほど前島までの砂の道が現れるため、観光客としてはありがたい。ただ、最も潮の引いてる時だとしっかりとした砂浜のように幅広く陸上化してしまう。

エンジェルロードの砂の道

翌日、小豆島からフェリーで隣の豊島に。わずか20分で唐渡港に着く。ここは豊島美術館が有名で、フェリーも島もインバウンドの欧米人だらけ。

凪の瀬戸内海
唐渡港のバス停

ところで、豊島(てしま)も唐櫃(からと)も難読だ。「豊島」は東京の豊島区が有名なためみな「としま」と読むが、摂津国の豊島郡は「てしま」であった。この郡名は明治まで続き、明治29年に能勢郡と合併して豊能郡となった。

従って、本来「てしま」はそれほど難読ではなかったとみられる。名字では9割以上が「とよしま」と圧倒的に多く、次いで「としま」「てしま」の順。西日本ではところどころに「てしま」さんが集中している。

一方、「唐櫃」は「からびつ」としか読めないのだが、調べてみると三重県、京都府、神戸市などにも「唐櫃」と書いて「からと」と読む地名がある。「唐櫃」とは4本か6本の脚が付いている「ひつ」のことで、衣類や調度品を入れるのに使用した。

そして古くは「かろうど」とも言われたといい、確かに『平家物語』の「能登殿最期」の段には、「大納言の佐殿には、内侍所の御唐櫃(おんからうど)をもって海へいらんと」とある。この「かろうど」がさらに「からと」となったらしい。

また、石棺のことも「唐櫃」といい、神戸市北区の唐櫃地名は神功皇后が武器や衣服と一緒に雌雄2羽の黄金の鶏を入れた石棺をこの地に埋めたことに因むという。

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