人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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神隠バス停

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2020/10/26 11:17

横浜市に「神隠」という不思議な名前のバス停があるというので行ってきた。

このバス停があるのは横浜とはいっても新横浜よりさらに北西部の、郊外の住宅地と未開発の地区が混在しているあたりだ。横浜市営地下鉄の仲町台駅で降りて新栄高校の横を通り、第三京浜を越えたあたりが「神隠」という地域らしい。現在の地名では港北区新吉田町となっている。

「神隠」のバス停には、ベンチがあり大きな熊手の飾られた待合室までついていた。停留所にはひらがなとローマ字で確かに「かみかくし」と書いてある。バス停の付近は竹藪がしげり、まだ開発前の雑然とした雰囲気を残している。夜ここで一人バスを待つのは心細くなりそうだ。

バス停の裏側は小高い山で、坂を上っていくと「神隠公園」があった。公園の横は鬱蒼とした竹やぶで、ここから下の道路に降る道は神隠しに合いそうな雰囲気がないとはいえない。かつてここで神隠しがあったのではという気になる。

神隠公園横の階段

この地名の由来は諸説あるが、かつて藩が改易となって浪人した武士が、ここに来て農家となりひっそりと暮らしたことに因むようだ。世俗を離れての暮らしが、まるで神様に隠してもらっているかのようだ、ということらしい。バス停には、今では使われていない古い地名が採用されることも多く、歴史の生き証人になることもある。

 

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