人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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横浜市営地下鉄と川和町

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2008/04/28 10:56

3月30日、横浜市営地下鉄に新しい路線が生まれた。JR横浜線の中山と、東急東横線の日吉を結ぶもので、グリーンラインと命名されている。

全国的に、地下鉄の路線名には沿線の主要な地名か、「東西」「南北」といった言葉が使われており、グリーンラインのようにどこを走っているのか皆目検討のつかない名前の路線は珍しい。地元住民以外はあまり利用しないからいいのもしれないが、公共交通機関としてはどうなのだろうか。

さて、この路線の中山駅の次が川和町駅。地下鉄とはいいながら高架で、周囲には畑が広がっている。今までは鉄道の路線もない交通の便の悪い所だったが、実際に行ってみるとそれなりの「マチ」があり、横浜北部を代表する進学校の県立川和高校があったりと、なぜか重要な場所だった。駅前を中心にマチが広がっている横浜郊外とは、ちょっと雰囲気が違うのだ。



川和という地名は、川の曲がっているところである「川輪」に由来するといわれている。かつては鎌倉街道も通り、鶴見川の水運もあって交通の要所として栄え、明治時代には都筑郡の郡役所も置かれていた。しかし、自治体としての郡が廃止されて役所がなくなり、しかも鉄道が通らなかったことで次第にさびれた。さらに横浜市に編入されたことで政治的な中心地の機能も失ったが、「マチ」が消滅することはなく、古い町並みを残した場所となっていた。

今回の鉄道開通で、今度は駅を中核として川和の復活があるかもしれない。
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