人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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親子2代で成り上がった斎藤道三

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2020/01/20 10:53

(photo by 今井和則/Adobe stock)

例年より2週間遅れで、19日からNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が始まった。主人公・明智光秀の生年については触れられなかったが、物語が天文16年(1547)から始まっていることから、この年に19歳である享禄元年(1528)説に従っているようにみえる。

ドラマには斎藤道三も登場、吉田鋼太郎扮する松永久秀から「親子2代で成り上がった」という話が出た。司馬遼太郎の代表作で、かつての大河ドラマ「国盗り物語」になじんでいる人にとっては、斎藤道三は一介の油売りから戦国大名となったというイメージが強いが、今では親子2代で成り上がったというのが定説となっている。

京都の妙覚寺の僧侶であった新左衛門尉は、西村と名乗って美濃に移り長井弥二郎に仕えた。新左衛門尉は次第に頭角を現し、長井の名字を称するようになった。そして、その子左近大夫(道三)の代になると、守護代である斎藤氏の名字を名乗り、守護土岐氏に代わって美濃国の実権を握ったとされる。

つまり、道三の国盗りは一代で成し遂げたのではなく、親子2代のことなのだ。ちみなに、道三の前名である松波庄五郎や西村勘九郎という名も資料的には信憑性に乏しい。

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