人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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渋野日向子選手の名字

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2019/09/17 13:02

(画像は「ゴルフダイジェスト・オンライン」サイト上の選手情報よりキャプチャ)

今年8月の全英女子オープンで、プロ転向わずか1年で優勝して世界を驚かせたゴルフの渋野日向子プロ。その後も、国内試合における連続オーバーパーなしのラウンド数29という日本記録を樹立するなど、活躍が続いている。

この「渋野」という名字、いたって普通に聞こえるが、その印象とは違って実は意外と少なく、名字ランキングでは15000位以下。私は1万位以下を珍しい名字と考えており、15000位で全国に100世帯ほどだから、「渋野」は全国に100世帯もない稀少名字ということができる。

しかし、「渋」も「野」も名字では比較的よく使われる漢字だ。なぜ「渋野」は少ないのだろうか。

「渋」とは水の流れが澱んでいる場所をさす。従って、「渋谷」「渋沢」「渋川」「渋井」「渋江」など、川と関係のある言葉とセットになることが多い。一方、「野」とは平地の中でも、水田化された場所を指すことが多い。こうした場所は水を得やすい場所であることが多いため、水が澱んでいる場所である「渋」とはあまりセットにならないのだろう。

「渋野」という名字は西日本各地に点々とあり、渋野プロの出身地である岡山市に比較的多い。

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