SEがはじめて学ぶ会計
発売日 | 2009.07.08 |
---|---|
著者 | 広川敬祐 |
判型 | A5判/並製 |
ページ数 | 264 |
ISBN | 978-4-534-04582-9 |
価格 | ¥2,310(税込) |
会計知識を得るだけではなく、システム作りと結びつけてカンタンに理解できる1冊。会計システムだけで完結せず、各業務システムとの連係をわかりやすく、かつ、全体を見渡せるように説明。また、要件定義や会計システム作りの勘どころも具体的に紹介。
≪章立て≫
第1章 恥をかかないために知っておきたい会計システムの基本
第2章 経理部門と対話するために必要な業務知識
第3章 経理周辺業務の基礎知識?会計システムの入口を理解しよう
第4章 経理業務の基礎知識?会計システムの心臓部分を理解しよう
第5章 経営管理業務の基礎知識?会計システムの利用満足度を高めよう
第6章 これでできる会計システム作りのすべて
オンラインストアで購入する
テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。
詳細
はじめに
第1章 恥をかかないために知っておきたい会計システムの基本
1 会計システム作りに必要なこと 12
「何のために学ぶのか、何を学ぶのか」の視点を身につけよう
会計が苦手だと思っているSEはたくさんいる?
会計システム作りは学び方が重要
「よい会計システム」は経理部門に喜ばれるシステム
経理部門での課題を発見するための視点
会計システム担当者に求められるのは会計知識+課題解決能力
課題解決のためにはコミュニケーションスキルを磨くことが欠かせない
コミュニケーションの基本は「相手を知ること」
市販の会計ソフトを調査する
プロジェクトの目的を理解しよう
2 帳簿をつけて簿記を理解しよう 18
帳簿のこと、複式簿記の仕組みを理解することが第一歩
会計を一言でいえば「会社の儲けを把握するための仕組み」
まずは帳簿から理解しよう
儲けを把握するのは複式簿記の方法による
複式簿記で取引を分解することを仕訳という
仕訳は頭ではなく、手を動かして理解するもの
3 財務諸表(貸借対照表、損益計算書)の基本 25
取引を仕訳に表わし、仕訳を集計して財務諸表を作成する
基本となる財務諸表をおさえよう
ストックとフローによる儲けの計算式
会計期間
財務諸表の作成手順
貸借対照表と損益計算書のポイント
4 会計システムの全体像を見渡す 32
会計システムは企業全体のトータルシステムとして考慮する時代となった
会計と業務管理系のシステムとの有機的な結合が求められている
ソフトウェアの選び方1 38
第2章 経理部門と対話するために必要な業務知識
1 要件定義を成功させるポイント 40
要件定義を成功させるために、ヒアリングや文書化のコツをおさえる
ヒアリングが要件定義のカギとなる
ヒアリングを実施するうえでのポイント
システム作りで、なぜ要件定義が重要なのか?
要件定義の目的を知る
文書化の必要性とは?
要件定義の文書化の手順
経理部門とのヒアリングで心がけること
2 会計原則や会計基準などの会計のルールを知ろう 46
ルールが複数存在する場合、最終的には企業側が取捨選択を行なう
土地の価格は1つだけ?
正確な負債金額を把握する必要がある
会計にもルールが存在する
会社ごとの具体的な会計処理の方法
3 会計と税金は切っても切り離せない“くされ縁”のようなもの 53
会計システムに税金の知識は欠かせない
取引パターンを吟味するためにも税金の理解が欠かせない
賦課課税制度
申告納税制度
システム化の対象範囲
環境変化への対応
4 「税務調査」や「会計監査」への対応が必要なことを知ろう 59
「便利になる」だけが会計システムの要件ではない
税務調査や会計監査への対応は必須
会社として整備すべき帳簿
5 ヒアリング前に経理部門の業務内容を知っておこう 64
経理部門の業務を知ることがよいシステム作りの第一歩
経理業務の概要
第3章 経理周辺業務の基礎知識~会計システムの入口を理解しよう
1 業務範囲を分類して会計システムとのかかわりを整理しよう 70
さまざまな業務のなかで会計システムと関連するものを特定することが求められる
すべての会計周辺業務は会計システムに通じる?
会計システムと関連する業務とは
売上は実現主義によって計上する
取引を仕訳で表現する
会計システムと関連する業務は仕訳を起票する取引
営業部門での会計システムと関連する業務
経理周辺業務が会計システムに果たす役割
2 受注・出荷・請求・入金・残高管理が「販売管理業務」 75
売上の実在性と入金するまでを管理することが求められる
販売管理業務の概要
滞留債権管理と貸倒引当金の計上
◆販売管理業務のシステム化のポイント 80
3 発注から検収、支払までが「購買管理業務」 82
購買部門は販売管理と表裏一体であることを理解しておく
購買管理業務の概要
システムを活用して安く仕入をする方法
リベート制度による割引
◆購買管理業務のシステム化のポイント 87
4 「在庫管理」は正確な記録と適正在庫を確保するために行なう 89
在庫を「減らす」「そろえる」という相反することのバランスをとる
在庫の種類を知る
在庫管理業務の概要
棚卸資産の有高帳
棚卸資産の評価基準
実地棚卸
在庫金額の評価方法とは?
在庫管理業務で利用されるバーコード
◆在庫管理業務のシステム化のポイント 95
5 給与の支払だけが「人事管理業務」ではない 98
給与や社会保険に関する管理業務が会計システムにかかわる
人事部門の管理業務の種類
給与計算と支払
給与から控除する社会保険料
社会保険料の計算方法
源泉徴収
給与の支払までの手順
年末調整
賞与と退職金
給与振込データの銀行への持ち込み
◆人事管理業務のシステム化のポイント 106
6 生産管理の基本3要素の「QCD」を知っておこう 108
生産形態は企業によって異なるが、QCDの最適化をする目的は不変
生産管理の基本3要素をおさえよう
生産形態は企業によってさまざま
生産管理の方法
◆生産管理システムのポイント 112
第4章 経理業務の基礎知識~会計システムの心臓部分を理解しよう
1 「経費管理」は全従業員のサイフに影響する大事な業務 114
経費管理は日常的なもので、全従業員が関係する大事な業務
経費管理業務の目的
経費の分類
分類方法はシンプルに
経費の内容
経費精算業務
従業員に金銭負担をかけないための方策
決裁承認の仕組み
請求書や領収書などの証憑書類の保管
◆経費管理システムで工夫するポイント 120
2 「原価計算」は製造業での最大の費用項目 122
原価は費用のなかでも大きな支出であり重要な業務
ラーメン屋の例でおぼえる原価計算
原価の計算方法
個別原価計算と総合原価計算
実際原価計算と標準原価計算
◆原価計算業務のシステム化のポイント 127
3 資産計上と費用処理で損益が大きく変わる「固定資産管理業務」 129
減価償却は資産購入金額を使用時間にわたって費用計上する方法
ビルを借りる場合と買う場合の違い
固定資産の種類
減価償却費の計算
建設仮勘定
固定資産の取得、移動、修繕、売却、廃棄(除却)
固定資産台帳の整備
少額資産と一括償却資産
リースとレンタル
償却資産税の申告
減損会計
◆固定資産のシステム化のポイント 137
4 「現金収支の差額」と「損益計算書の損金」は必ずしも一致しない 139
収入と支出を把握し、一定の区分によって集計して、資金過不足調整を図る
資金繰りの管理とは
預金の種類別管理
口座別の資金繰り管理
資金の運用
資金の調達
◆資金管理業務のシステム化のポイント 143
5 「決算」は何といっても“最重要”の経理業務 144
決算では取引を集計して、決算日現在の経営成績と財政状態を明らかにする
決算業務の概要
月次決算の作業内容
帳簿への記帳の締め
決算整理仕訳
月次決算の処理レベル
予算や前月対比分析
経営管理者への報告資料作成
四半期・年次決算
株主総会の準備資料作成
6 法人税と消費税の申告業務を理解しよう 152
消費税と法人税の申告がおもな業務
消費税の概要
消費税の処理方式
消費税の課税区分
法人税の申告と青色申告法人
会計上の利益と税務上の所得
会計上の利益と税務上の課税所得との4つの調整項目
申告書の作成
e-Tax(電子申告・納税システム)を知っておこう
7 「連結決算」は合算だけではなくグループ間取引の消去を行なう 160
グループ会計の財務諸表を合算し、グループ間取引を消去する業務
夫婦の家計簿にたとえて連結決算を理解しよう
連結決算の対象範囲
連結決算
業務の全体像
コーポレートガバナンス
IR(インベスター・リレーションズ)への対応
上場企業は決算短信によって財務内容を公表する
◆連結決算のシステム化のポイント 167
ソフトウェアの選び方2 168
第5章 経営管理業務の基礎知識~会計システムの利用満足度を高めよう
1 「管理会計」のシステム化の目的を明確にしておこう 170
管理会計の目的は経営管理に活かすということ
経営管理者が欲する情報に応える
経営者の想いを反映したマネジメントサイクルを回す
財務会計と管理会計
管理会計の目的とは
管理会計上の組織体系
社員の意識改革と行動がともなってはじめて効果が出る
◆管理会計システムに求められるもの 176
2 会社の業績を測定する「経営管理指標」を学ぶ 177
経営の良し悪しを判断するための客観的な指標を知ることは欠かせない
会社の経営状況の把握
収益性の管理指標
安全性の管理指標
生産性の管理指標
成長性の管理指標
バランス・スコアカード
バランス・スコアカードの手順
◆経営管理システムの構築上のポイント 185
3 「予算管理」は経営管理の“基本中の基本” 187
当初予算と活動結果の差異を分析し、戦略や活動の修正をうながす
予算管理の概要
中長期経営計画と予算
予算の種類
予算の作成方針
予算編成の作成手順
予算と実績との比較
予算管理業務の課題
◆予算管理業務のシステム化のポイント 195
4 「業績評価」は目標の達成状況をモニタリングするもの 197
収益力確保、強みの確立、業務効率改善などのためのマネジメントの仕組み
業績評価の流れ
目標管理制度のメリット
目標設定時のポイント
KGIとKPI
KPIの設定にはSMARTというポイントがある
業績評価の単位
責任会計
業績評価の前提条件
5 ますます重要性が高まる「間接費」の管理 205
間接費は発生した費用を部門や製品に関連づけることが困難
間接費の概要
間接費の配賦
配賦基準
配賦基準の選択
管理可能費と管理不
可能費
ABC(活動基準原価計算)やABM(活動基準管理)
ソフトウェアの選び方3 212
第6章 これでできる会計システム作りのすべて
1 会計システム作りの工程とポイント 214
上流工程の品質でシステム開発の成功の可否が決まる
システム開発は複数の工程に分かれて行なわれる
上流工程でシステム開発の正否が決まる
クリティカル(主要な)要件を箇条書きでまとめる
実現要件を検討するうえでの留意点
開発手法の違い
会計システムに適した開発手法とは
2 コード体系を決めていくための秘訣 222
コードの利用は、楽、便利、ミス防止というメリットがある
コード体系は会計システムに大きな影響を及ぼす
コード設計上の留意点
標準的なコードの例
会計システムで利用されるコード
マスタデータ管理
3 財務諸表は出力帳票の基本 229
財務諸表を読むことが、次のステップへ進むために欠かせない
決算書類とは
貸借対照表
損益計算書
株主資本等変動計算書
製造原価報告書
4 出力帳票をどのように設計するか 235
経理部門の興味が高いものの、サンプルとなる雛形がない
標準化された会計帳票は存在しない
法的に必要とされる会計帳票
主要簿と補助簿
伝票(取引を管理する証憑書類)
伝票会計の仕組み
日次の帳票
月次の帳票
決算時の帳票
会計帳簿の保存期間
帳票の種類と役割
5 証憑書類とのリンクや保存方法も会計システムの一部 242
明確なルールがないものの、監査や税務調査をクリアしなくてはならない
証憑には保存レベルや保存方法に決まりがない
領収書の書き方
証憑の整理と保存のポイント
外部証拠と内部証拠
証憑の種類
6 ペーパーレスと電子データ保存 247
電子保存によってコストの削減が実現する
紙の出力はなかなか減らない
電子帳簿保存法
e-文書法
電子データ保存のメリット
電子データの問題点
電子データ保存に求められる要件
e-文書法のねらい
7 会計システムを取り巻く課題とその解決法 252
システム作りにおいては、利用者の視点で考えることが重要
よくある課題にも汎用的な解決法がある
決算早期化への対応
決算早期化の阻害要因
環境変化への対応
会計制度の変更
会計基準が変わる場合の検討ステップ
組織変更の対応
経理業務の標準化と属人化の排除
会計システム作りは業務改善と表裏一体
参考文献
INDEX
著者プロフィール
広川敬祐
NTTデータ経営研究所ディレクター、日本公認会計士協会東京会常任幹事(コンピュータ委員会担当)。1962年生まれ。1983年に公認会計士試験に合格し、青山監査法人、英和監査法人を経て、SAPジャパン株式会社に入社。1998年にHBS(HiroBusinessSolutions:広川公認会計士事務所)を設立し、IT・SI企業との協業や内部統制構築支援、またセミナーや研修等も精力的に行なっている。著著は『内部統制で仕事はこう変わる!』(日本能率協会)、『連結会計システムのPLAN‐DO‐SEE』(共著、トムソンラーニング社)。