『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

なぜ続かない? SNSが滞る人に共通する「3つの壁」

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2025/11/06 13:08

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第93回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「SNS投稿を続けるコツについて。

SNS投稿が続かない壁【1】完璧主義

SNS投稿を始めてみたけれど、なかなか続かない。そんな悩みを抱える人は少なくありません。始めた当初はやる気に満ちていたけど、いつの間にか更新が止まってしまう……。そんな症状に見舞われてしまうのです。

投稿が続かない原因のひとつは、「完璧主義」にあります。投稿のクオリティにこだわるあまり、「中途半端な投稿はしたくない」「しっかり構成しないとカッコ悪い」「こんな内容では恥ずかしくて表に出せない」と、自分で自分にブレーキをかけてしまうのです。

そういう人たちは、もしかすると、SNS投稿を高尚なものと思いすぎているのかもしれません。

SNSは未完成のコンテンツが許される、極めて自由度と寛容性が高い場です。むしろ、求められるのは「とりあえず出してみる」くらいの軽やかさ。たとえば、「今日は朝から集中力が続かない。こんな日もある。明日の自分のために今日は休養しよう」。この程度の投稿でも、自己開示を交えた立派な発信なのです。

SNS投稿が続かない壁【2】書くネタがない

次に多いのが「ネタ切れ」です。何を書けばいいかわからず、投稿を始めて数日から数週間で手が止まってしまうようなケースです。そういう人ほど「特別なことを書かなくてはいけない」と思い込んでいるか、「自分には書くべきネタがない」と勘違いしています。

どんな人であれ、ネタは日常の中に山ほど転がっています。仕事中に気づいたこと、読書や動画で得た学び、ザワっときた違和感や異変、誰かとの会話の中でハッとした瞬間、驚くほどおいしい食べ物、自分の失敗談や挑戦の記録など、すべてが投稿ネタです。

ネタがないと思っている人におすすめしたいのが「事実+感想」のフォーマットです。

▼事実+感想の投稿例
「【事実】今日は話題の映画『国宝』を見た。【感想】主人公の覚悟と狂気に触れながら身震いしたのは、自分の中にある、まだ見ぬ覚悟と狂気が共鳴したからだろうか……」
このように「事実+感想」で綴るだけで、オリジナリティのある投稿になるのです。

うまくいかないことなども価値あるネタです。たとえば、営業の現場でこんな失敗があったなら、「プレゼン中に資料のスライドが飛んでしまって大慌て。でも、焦って話したことで逆に『本音』がこぼれ……それが意外と相手に刺さったみたい」と投稿してみるのです。

ちょっぴり恥ずかしいミスを教訓と共に示すことで、読む人の共感を誘うことができるでしょう。しかも、投稿者の人間味や人柄も伝わり、親近感を抱いてもらいやすくなります。

SNS投稿が続かない壁【3】「いいね」がつかない

ほかにも「誰からも反応がないと不安」という壁もあります。投稿しても「いいね」やコメントがつかないと、続ける意味やモチベーションが削がれてしまうのです。なかには、「自分なんて……」と自己肯定感まで下げてしまう人もいます。

しかし、最初は誰にも見られていないのが当たり前。むしろ見られていない今こそ、自由に試行錯誤できるゴールデンタイムと捉えるべき。文章の型や文体、テーマなどを自由に変えてみたり、自己開示のレベル感を模索するなど、自分らしいスタイルを探る期間と割り切りましょう。

そもそも、「いいね」や反応がなくても、1投稿したということは、その人自身が1ミリ成長したことを意味します。なぜなら、投稿するために、投稿者は「情報を集め、考え、整理整頓し、アウトプットする」というプロセスを踏んでいるからです。

そのプロセスの中に自己成長が含まれています。「いいね」がひとつもつかなかったとしても、成長の神様(!)は、あなたに「いいね」を必ず押してくれるのです。それを誇りに思いましょう。

“習慣化”するなら最初の3週間がカギ

投稿継続の最大のコツは「ハードルを下げる」こと。「1日1投稿」と決めても、内容は数行でOK。写真1枚に一言コメントを添えるだけでも十分です。「今日は何も書けなかった」と書くだけでもいい。重要なのは「投稿する習慣」を自分に刷り込むことです。

心理学では「インキュベートの法則」といって、ある行動を21日間続けると無意識で行えるようになると言われています。つまり最初の3週間は、自分に「投稿者としての習慣」を植えつける期間と割り切ればいいのです。

完璧な投稿を目指すより、とにかく投稿を「続ける」こと。それがあなたの言葉を育て、SNS投稿力を育む最短ルートです。


山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『正しい答えを導く質問力』(かんき出版)、『読解力は最強の知性である 1%の本質を一瞬でつかむ技術』(SBクリエイティブ)、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)ほか多数。

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