苦手な人にも知ってほしい、「数学の面白さ」って?

業務で表計算ソフトを使ったり、プログラミングを学ぶうえで必要になるなど、数学の知識は大人になっても意外なところで問われます。そうした場面で「もっと数学を勉強しておけば良かった……」と後悔する人も少なからずいるでしょう。子どもがいれば「子どもには絶対に自分と同じ過ちを繰り返してほしくない」とも思うかもしれません。

しかし、自分が数学に苦手意識を持ったままだと、数学の面白さや楽しさを伝えることもままなりません。では、数学の面白さは一体どこにあり、どう伝えたらいいのでしょうか?

数学校の頃から数学が好きで大学を卒業するまで数学を学び、現在は経理を担当しているAさん(20代女性)は、その魅力について次のように語ります。

「数学がなぜ面白いかというと、答えが1つしかないからです。アプローチの仕方はたくさんあるけれど、最終的に行きつく場所は1つなのでシンプルに考えられます」

答えが1つだからシンプル。もちろん、100人の数学好きに聞けば100通りの答えがあるでしょう。しかし、これが数学の魅力の一側面を表しているのではないでしょうか。

人気塾講師が試行錯誤の末につかんだ、数学嫌い克服のコツ

ただ、それでも難しく感じてしまうのが数学。たったの1つの答えに辿りつけないから、苦手意識を持ってしまいます。

『中学数学のつまずきどころが7日間でやり直せる授業』の著者で、個別指導塾「新学フォーラム」代表で人気塾講師の西口正さんは、さまざまな工夫を用いて、数学の苦手な子どもたちを数学好きに変えてきました。

そんな西口さんは、数学嫌いの子どもたちを指導するコツを次のように明かします。

数学嫌いな生徒はそもそも数学に対する関心がなく、学習意欲も上がりません。手取り足取り教えても、なかなか関心や学習意欲が定着しません。

(中略)例えば、「平方根はババ抜き、2つそろうと外に出せる」など、誰もが知っている話題にたとえて説明するようにします。すると、数学嫌いな生徒でも、数学のおもしろさが少しずつわかってきて、数学に対する苦手意識を取り除くことができ、だんだん興味をもつようになります。それが理解につながっていくのです。

(本書1~2ページより)

特に算数から数学に変わり、急に複雑さを増す中学数学の基礎部分は、数学嫌いになるかならないかの最大のつまずきポイントです。

だからこそ中学の段階で苦手意識を払しょくし、面白さや楽しさを教えることができれば、それ以降も数学好きでいられる可能性が高くなるのです。

中学生になって最初に習う「マイナス」を見くびるな!

西口さんが教えてくれる、楽しく、分かりやすく数学を学ぶ方法の1つは、何かに置き換えて具体的に考えてみること。本書から1つ、例を取り上げてみましょう。