そこにいるだけで、特別な存在感を醸し出す人がいます。その人と接するとなぜか魅了され、初対面でも記憶に残る。あのオーラはいったいどこから出てくるのでしょうか。

「気づかいができる人は、信頼や尊敬、そして人望を集め、影響力を発揮しやすくなります」

こう語るのは、プレゼンス・コンサルタントの丸山ゆ利絵さん。企業経営者や幹部社員に「エグゼクティブ・プレゼンス」(社会的地位の高い人が持つべき雰囲気や態度)の身につけかたを教える丸山さんは、魅力的な存在感を発揮するためのポイントとして、「外見の印象」「対人コミュニケーション力」「自己認識」の3つをあげています。

なかでもコミュニケーションの力は、周囲の信頼を継続して得るためにもっとも重要なもの。そして、他人への配慮や尊重があらわれる「気づかい」こそ、一流の人が例外なく持つものだそうです。

丸山さんは最新の著書『「一流の存在感」がある人の気づかいのルール』の中で、社長秘書などの自身のキャリアのなかで出会った、特別なオーラを発する上司やエグゼクティブたちの言動を紹介しています。

「一流のオーラ」の秘訣をのぞいてみましょう。

相手をきちんと見る

丸山さんが以前働いていた会社のN部長。全体的にスマートな雰囲気の彼は、いつも忙しそうにパソコンに向かっています。しかし、部下が用事で声をかけると、どんなに目の前の仕事に集中していても「丸山さん、悪い。2分だけ待っていて」などとすぐに返答し、区切りがつくと「お待たせ」と言って立ち上がり、笑顔で相手に向き合うのだそうです。

このような上司は少数です。多くの人は、仕事中に部下から声をかけられても目と顔を相手に向けず、パソコンや書類を見たまま生返事をしていないでしょうか? それでは相手は話しかけにくく、ひいては報告や相談をしてこなくなります。

「部下がなかなか報告してこないな……」と思ったら、「相手をきちんと見る」ことを意識してみましょう。

身内を紹介するときには卑下しない

多くの人は取引先に部下を紹介するとき、「まだまだ勉強中の身ですが」「半人前ですが」と、けなし気味に紹介します。妻を「愚妻」と第三者に紹介する日本人的な謙虚さのあらわれなのですが、欧米のエグゼクティブはそうした習慣を奇異に感じます。彼らは大げさなくらい、身内をほめて紹介します。そしてそれは、日本人でも名経営者と呼ばれるような人たちも同じなのです。