出版社の本作りと、読者の望むものが、しっかりと合致すればヒットがでるはず。

―他の本のこともうかがいます。ビジネス書で、いまこれが売れているという本はありますか?

「今はこれ!」というのは、正直ないですね(汗)。最近、ビジネス書のランキングはほとんど変わっていないです。新しいテーマが今のところまだ発掘されていない気がしますね。書店の売り場もそうですが、出版社さんも今が頑張りどきかなと……。

―内田さんご自身は、今どんな本をお店に置きたいですか?

そうですね。今はちょっと、ビジネスコミックや入門書が増えすぎかなという気がします。各出版社さん、間口の広い入門書を一生懸命作っていらっしゃいますが、その次のレベルのものが作られていません。この店の棚も基本書は並んでいるけど、次に読むべき専門書が少なくなってしまっているんですよね。

読みやすさや、見やすさのみをアピールしすぎかもしれません。少し前にピケティの『21世紀の資本』(みすず書房刊)が売れたように、「もう一歩高いレベルの本を読みたい」という読者の欲求もあるのではないでしょうか。

入り口はいっぱいあるので、その次が必要なのかな。お客さんも物足りなさを感じていると思うんですよね。

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毎日、たくさんの本が出版されるけれど……

―大変参考になります。弊社の書籍で、印象に残っている本はありますか?

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『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(深沢真太郎:著)

日実さんの実務書はいいものが揃っていますよね。たとえば、『経理部長が新人のために書いた経理の仕事がわかる本』。経理の仕事についた新入社員向けの書籍ですが、実務のさわりだけではなく、入社1年目でマスターすべき仕事の内容をきちんと網羅していて、何度も読み返す必携ガイドブックのようでした。

この本のような、読者の「知りたい」にきちんと答え、役立つものだと長い間売れますよね。最近ですと『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』で、数学的思考を使った「考え方のコツ」を解説と豊富な図表で丁寧に書かれていたのが印象的です。

―ありがとうございます。ご期待に沿えるよう頑張ります。

いえいえ、私も日々、限りあるスペースと時間の中で、どこにどのように書籍を置いたら、お客さんに届けられるのかを試行錯誤しています。並べる場所を変えることで、違う年齢層や性別の人の目にとまり、新しい流れができるということもあるので、時には「書店員のカン」で可能性にかける場合もあります。

まだまだですが、長年の経験が少しは売り場作りに活かせているのかなと思います。終わりのない仕事ですが、これからも素敵な書籍をお客様にお届けできるように頑張りますね。『いい人』も、まだまだ展開しますよ!

文教堂書店 赤羽店(ブックストア談)ファイル_000

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