(photo by acworks/photoAC)
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怒らせてしまうポイントを、「あらかじめ宣言」する

根本先生は「欠点は直さないほうがいい、というよりも、直してはだめ」と主張しています。その主な理由は「欠点は個性」、「欠点は長所の裏返し」であるからだそうです。また「欠点が人と人とをつなぐ架け橋」になることもあるとか。

たとえば、あまり嬉しいことではないかもしれませんが「おっちょこちょいの○○さん」と、取引先の人からすぐに覚えてもらえたり、「一言多い」という欠点を「機転が聞く、しっかりとした指摘ができる」と、とらえてくれる人もいます。

また、人は相手の欠点を知ると、安心して親しみを感じるものなので、欠点があることで、人から「この人も抜けているところがあるんだな」と、思いがけず心理的距離が縮まるきっかけになることもあります。

だからこそ、大切になるのが、相手の怒りにつながる欠点と思えるところを「責めたり」「直す」のではなく、「オープン」にしてしまうことなのです。

先ほどの「一言多い」という相手を自覚している人は、その一言をすべて気をつけることは難しいので、「気をつけているのですが、一言多くて、気にさわるようなことを言ってしまったらすみません。そのときはぜひご指摘ください」というように、あらかじめ宣言してしまいます。

そうすることで、相手は「この人は一言多い人だと認識しておこう」と、心の準備をしてくれます。すると、はじめからそのつもりで話を聞いてくれるので、余計な一言にも、「これがさっきの“一言多い”ということか」と、余裕を持って受け止めてくれます

自分の人を怒らせてしまうポイントを事前に宣言してしまうことで、相手に心の準備をしてもらうテクニックです。

「ごめんなさい」を上手に使う

自分はそのつもりはなくても相手を怒らせてしまったとき、すぐに「ごめんなさい」が言えますか?

「いえ、そういうつもりじゃなくて」と言い訳をしてしまったり、「私は間違っていません」と正しさを主張する態度を取ってしまう人がいます。

謝罪が苦手な人を心理分析すると、「罪悪感が強いタイプ」と、きちんとしなきゃという「完璧主義タイプ」の2つに大きく分けられるそうです。

相手を怒らせてしまったときに、つい自分の正しさを主張してしまう人は「罪悪感タイプ」。ちょっとしたミスでも必要以上に自分を罰しようとするので、簡単に「ごめんなさい」が言えません。また、「完璧主義タイプ」の人は、物事を完璧(思い通り)に進めているという意識が強いので、言い訳をしてしまったり、「なんでこんなことに?」とパニックになって、謝罪の言葉がでなくなってしまいます。

そこで、とても大切なことは「どちらが正しいのか?」ということよりも、「相手といい関係を築きたい」という心がけで、素直に謝罪する気持ちを育てることです。

相手を怒らせてしまったとき、すぐに「ごめんなさい!」と謝罪することができる人は、相手の目に「素直な人」と映ります。また、潔い謝罪は、相手を冷静にし、「次からは気をつけてね」とあっさり許してくれることもあります。

また、すぐに謝罪し、相手も好意的にそれを受け止めてくれた場合、お互いわだかまりのない関係を築けるため「私のどんな態度が悪かったのか教えていただけませんか?」と当人に聞くことも難しくありません。ぜひ、「あ、言っちゃった!?」と焦った時は、まずは素直に「ごめんなさい」を使ってみてはどうでしょう。

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人の数だけ、心の地雷は無数にあります。そこで重要なのは、「地雷を踏むのでは……」と恐れて足元ばかり見るのではなく、「地雷の種類や対処法」について知ること。『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』は、日々「怒らせたらどうしよう……」と不安を感じている人にとって、人間関係がスーッとラクになるコツをたくさん掲載した必読の一冊です。