読書会と聞くと、どのようなものを思い浮かべるだろう。

課題図書を読んだ参加者が集まり、その本について語り合う。決められたテーマに合わせた本を準備し、プレゼンする……。都内でも、様々な形の読書会が開催されており、仕事帰りや休日にビジネスパーソンがたくさん参加しているという。

今回、弊社刊行の『ソクラテスに聞いてみた』(藤田大雪:著)をベースに、仕事・友情・恋愛の3つをテーマとした読書会が行われるとの情報をキャッチ。読書会初参加の日本実業出版社社員が潜入してみた!

 文責:日本実業出版社 / 読書会主催:読書チャンプル

みんな恋愛や仕事で悩んでいる!

日曜日のお昼過ぎ、少し緊張した面持ちで男女15名が都内某所の会場に集まった。年齢層は若く、学生や30代までの社会人がほとんど。まずは2グループにわかれ、初対面同士、自己紹介を始める。

読書会に参加しようと思った理由として、「色々と悩んでいて、他の人の意見を聞いてみたいなと思ったので」「恋愛とか友情とか、テーマが面白いですよね」「哲学に興味があり、参考書籍『ソクラテスに聞いてみた』も読みました」という声が、聞こえてきた。

『ソクラテスに聞いてみた』は、中小企業で働いて5年になる27歳のサラリーマン、サトルが主人公。仕事もプライベートもマンネリ化する一方の毎日にうんざりし、満たされることのない人生を送っている。そんなある日、Facebookにいかにも怪しい友達申請が届いた。申請の送り主は「ソクラテス」と名乗っていた──。

「汝、自身を知れ」「無知の知」「善く生きろ」などの言葉でも知られ、「生き方について考えること」の重要性を最初に説いた古代ギリシアの哲学者ソクラテスが、友達・恋愛・仕事・お金・結婚について、サトルの「本当の考え」を引き出していく一冊。

たくさんの選択肢がある代わりに、たくさんの悩みを抱えている東京の男女は、ソクラテスの考えに対しどのような答えを導き出すのか…。

仕事のやりがいって何だ?

会の流れとしてはまず、ふせんにテーマに関する意見を書き出す。その後、それぞれの意見を模造紙に張り出し、議論スタートという流れ。最後にまとめの発表もあるということで、どこか手持無沙汰な様子だった参加者の目が輝いてきた。

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たくさんの意見がふせんに書き出されていく。

テーマ1.「どうすればやりがいのある仕事につけるのか?」

――転職を考えるサトルは、「自己分析」の手伝いをソクラテスに頼む。会社に採用されるための“自分像”を無理に作ろうとするサトルに対し、ソクラテスは「周りからどうみられるかではなく、自分自身がどう在りたいか」を考えることを勧める……(本書、第3章より)

多くの社会人にとって、人生の大半を費やすこととなる「仕事」。就職活動では「やりがい」が会社を選ぶ条件の一つとして重要視される。また「やりがい」と「現実」のギャップによる悩みもよく聞く。参加者のみなさんはどう考えているのだろう?

「そもそも、“やりがい”のある仕事とは何なのか。結果が評価される。仕事内容が好き。自分のスキルアップにつながる。お金がたくさんもらえるとか?(20代、男性)」

「やりがいを考えるなら、自分のいやなこと、やりたくないことから徹底的に逃げてしまう手もあるかな、と……。ただ、逃げてばかりもいられないので、いやいややったことでも、納得するというか、後悔しないような気持ちを持つことが大事なのでは。新しいやりがいを見つけることができるかもしれないし(30代、女性)」

「自己分析は大事だけど、知らず知らずに他人と比較してしまって、それが自分の姿だと思ってしまうことがある。だから、自分のダメな部分、できないことから目をそらさないで、徹底的に本当の自分の価値観を探ることが大事(20代、男性)」

多くの意見に共通していたのは、「自分が、どのように働きたいのかということをしっかりと考えたことがなかった」ということ。採用されるために自分を飾り立てるのではなく、自分自身にとって楽しいことや、嫌なこと、さらに自分とはどういった人間なのかを明確化しなければ、仕事にやりがいを見い出すことは難しいのかも知れない。

つまり、自分が何者であるのか、自分はいかなる存在になりうるのかを、妥協せず徹底的に探究すること――それがいちばん大切なんだ。そのために、ぼくたちは自分の生に向き合って、自分を取り巻く状況に誠実に対処しながら、最善の生を生きることに力を尽くさなければならない(本書、134ページより)。