書く前に視覚化する「文章の見取り図」のつくり方

さて、ネタが集まると書きたい気分が一気に高まりますが、「書く準備」を怠ってはいけません。山口さんは、必ずやらなければいけない「書く前の準備」として、次の8つの作業をあげています。

準備1 読者ターゲットを明確にする
準備2 読者ターゲットのニーズを明確にする
準備3 文章の目的を明確にする
準備4 読者の反応を決める
準備5 メッセージをひとつにしぼる
準備6 文章の切り口を工夫する
準備7 文章のレベルを決める
準備8 文章のテイストを決める

それぞれの準備の具体的な方法は、本書に詳しく書かれているのでここでは触れませんが、先述の「アンテナの視覚化」と同じように、ここでも表を使って視覚化すると効果的です。文章の「見取り図」をつくるのです。

今度は、「売れる営業マンになる方法」というブログを運営している人が、「営業マンは雑談に徹しろ!」という記事を書く場合を例にあげます。先の「8つの準備」はこのように視覚化できます。

文章術記事中④
文章の見取り図をつくろう(99ページより)

 いかかでしょう。もう文章の大枠ができあがったも同然です。文章が得意な人の中には、こうした準備を頭のなかだけで済ませている人もいますが、苦手な人はそのマネをしないで、どんどん書き出すべきです。

書き出して視覚化すれば、書きたい文章の全体を俯瞰することができ、「誰に、何を、どう書くか」がはっきりと見えてくるでしょう。


 
山口さんは本書の冒頭で、「うまい文章」とは「目的を達成する文章」だと定義したうえで、こう述べています。

「うまい文章」、すなわち「目的を達成する文章」を書くにはどうすればいいのでしょうか?
ズバリ「読む人に貢献すること」です。
(14ページより)

そして、こうも。

間違いなく言えるのは、文章は「書く人」のためにあるのではなく、「読む人」のためにある、ということです。
(15ページより)

「美しい文章を書きたい!」「文章がうまいと言われたい!」という考えは書き手=自分中心の考え方です。こうした考えが、「何を書けばいいのかわからない」ことの原因でもあるのです。

書き手は「読む人」の側からスタートして、「どうすれば読む人に貢献できるだろうか?」という点にのみ意識を集中すること。そのうえでアンテナを張って情報を上手に集めて、読者や、読者のニーズをよく考えていけば、「何を書けばいいかわからない」から脱することができるでしょう。