「2分ほどお話しできますか?」

電話でのこんな切り出し方は、相手への気遣いを感じさせて好感を与えるでしょう。反対に「ああどうも佐藤です、この間の件なんだけど……」のような切り出し方は、どこの佐藤さんだろう、この間の件って……と相手に余計な負担をかけてしまいます。

似た言い方で「今、ちょっといいですか?」がありますが、これが案外と曲者です(笑)。(中略)「大丈夫です」と返答したところなんと30分くらい話されてしまい、電話を切るに切られず困ったことがありました。
(168ページより)

一般的に30分は「ちょっと」ではありませんよね。気を付けましょう。

「お茶をお願いします」

さらに高野氏は、こんなひと言にも心遣いのセンスが表れる、といいます。

取引先などを訪ねた時、応接室で「コーヒーとお茶どちらがいいですか?」と聞かれることがあります。その時、多くの方が何気なく「あ、お茶でいいです」と口にしていないでしょうか。(中略)「それしかないんじゃ仕方ない。ま、お茶でいいか」というニュアンスです。(中略)相手の行為を軽んじているようにも聞こえる気がします。
(181-182ページより)

用意してくれた相手の気持ちを考えれば「お茶でいい」という言葉は出てこないでしょう。たった1字の違いが信頼の種を潰してしまうことがあるのです。

このほかにも「ほめる時は相手の“こだわり”を見つけてほめる」「チームプレーで絆を深める方法」「気分を害されないお断りのルール」など、心のこもったコミュニケーションのためのヒントがたくさん。本当のホスピタリティとは、相手への思いやりや慈しみ、感謝の気持ちそのものです。そういったことに気づかされ、仕事やコミュニケーションに対して前向きになれる一冊です。