人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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戦国大名武田家の特徴

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2007/01/09 10:00

7日からNHK大河ドラマ「風林火山」が始まった。
昨年に続いて戦国時代が舞台だが、やはり大河ドラマは勇壮な合戦シーンもある戦国時代の方が視聴率もあがるのであろう。中でも、武田信玄と上杉謙信は、太閤記とならぶ人気テーマの一つ。書店にいくと、武田信玄や風林火山をテーマにした書籍がうずたかくつまれている。

さて、戦国時代における武田家の特徴を1つあげるとすれば何をあげるだろうか。いろいろな意見がでるだろうが、実は武田家の最大の特徴は、戦国きっての名家である、ということだ。

戦国時代は下剋上の時代。戦国初期にはたくさんいた小大名達は、次第に淘汰されて、戦国後期には二十家程度に集約された。その多くは、室町時代には大名ではなかった家がほとんどだ。さすがに、豊臣秀吉のように足軽から一代で築いたという家は少なく、一時代前までは有力大名の家臣や、土豪クラスだった家が多い。一介の油売りだったいわれた北条早雲も、近年では室町幕府の重臣伊勢氏の一族という説が主流。織田家は守護代家の分家、毛利家や長宗我部家は小土豪にすぎなかった。

名家といわれる佐竹家や伊達家は室町時代には守護だったが、鎌倉時代は地方豪族クラス。鎌倉時代から戦国末期まで大名だったのは、島津家・大友家と武田家の3家にすぎない。このうち、島津家は下級官僚・惟宗家の出、大友家は中級官僚・中原家の出なのに対し、武田家は武門の本流ともいうべき清和源氏の名門の出で、戦国大名の中ではダントツの名家であった。

実力の時代とはいいながら、多くの戦国大名が架空の系図をでっちあげて家系を粉飾しているように、まだまだ“名家”の持つ力は大きかった。武田家には、天才といわれた信玄の実力の他にも、“家系”という目に見えない力があったはずだ。
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