人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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日本ハム44年振りの優勝

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2006/10/30 10:48

 今年のプロ野球は日本ハムの優勝で幕を閉じた。前回の優勝は44年前、当時は東映フライヤーズという球団名だった。

 日本ハムという名前での日本一も初めてだが、北海道のチームが優勝するのも当然初めて。かつて東京の後楽園球場を本拠としていた時代に、後楽園球場で巨人と戦った日本シリーズでは、観客の9割は巨人の応援をしていたといわれた。しかし、札幌ドームでの応援は日本ハムが圧倒的に多い。もともと巨人ファンの多い地域で、縁もゆかりもない日本ハムが移転しても成功は難しいのでは、といわれたが、今ではすっかり地元球団として定着しているようだ。

 現在、プロ野球の球団は、札幌・仙台・所沢・千葉・東京・横浜・名古屋・西宮(大阪)・神戸・広島・福岡の11都市にある(阪神の本拠地・甲子園球場は西宮にあるが、実質は大阪)。東京に2球団ある一方、京都にはないが、ほぼ全国にうまく分散している。20年程前までは、大半が東京周辺と阪神地区に集中しており、多くの球団が集客に苦労していた。フランチャイズ制をとる以上、球団の所在地はばらけている方が望ましいのは明らかだ。
 プロ球団が存続できるためには、一定の観客を確保する必要があり、それにはどうしてもある程度の人口が必要である。逆に言えば、プロ球団がある、というのは大都市の象徴であるともいえる。

 しかし、かつて山口県下関市という一地方都市にプロ球団があったことをご存知だろうか。1950年、プロ野球がセパ2リーグに分裂した時、いくつかの新球団が誕生した。その中に、大洋漁業の結成した大洋ホエールズ(現在の横浜ベイスターズ)があったが、同球団は、会社のあった下関市営球場を本拠地としたのだ。経営的には苦しく、3年後には京都を本拠地とした松竹と合併して洋松となり、本拠地も大阪に移された。1955年には松竹が撤退、それを機に本拠地も神奈川県川崎に転じている。わずか3年間だが、下関市はプロ球団のある都市の一つだったのだ。

 さすがに、あまりに人口が少ないと経営的には成り立たないが、市の人口が60万、商圏人口で80〜100万くらいあれば、やり方次第ではなんとかなりそうな気もする。静岡や熊本、岡山あたりに新球団を結成できれば、プロ野球人気も回復に向かいそうなのだが。
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