人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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寺家ふるさと村と谷戸地形

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2011/10/17 10:42

横浜市青葉区北部から東京都町田市との都県境に広がる、寺家(じけ)ふるさと村に行ってきた。

ここは、宅地化が進む横浜市郊外の一角に、昔ながらの里山をそのまま残して保存しているところで、谷間に広がる水田と、谷の両側に広がる森、そして水源となる池という、日本本来の風景が今でも広がっている。そこには、チョウやトンボが飛び、畦横の用水路にはアメンボが浮かんでいるという、里山育ちの筆者には、なつかしい風景があった。

この日は、ちょうど稲の収穫の時期で、稲穂の実っているたんぼの横では刈り入れと、稲藁干しが並んでいるという、この季節ならではの風景も見られた。この刈り入れも、収穫体験に訪れた人達が行っているようだ。



稲藁干しの風景


さて、この付近は関東西部に広がる多摩丘陵の東端にあたり、地形が複雑に入り組んでいる。寺家は鶴見川の上流にあたり、丘陵地帯に細長く谷間が入りこんでいる場所だ。

こういう地形を、南関東では「やと」といい「谷戸」という漢字をあてることが多い。神奈川県では、大字レベルの地名に「〜やと」というものを見かけることも多い。また「やつ」「やち」も同じ意味のことばだ。



谷戸の風景


宅地開発が進むと、こうした高低差も関係なく造成して一連の住宅地となってしまうため、「やと」の意味がわかりづらくなるが、まだ宅地化の進んでいない場所では、昔ながらの谷戸の風景が残っている。
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