人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「菅」って「かん」と読むのが普通?

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2010/06/07 09:46

4日、第94代総理大臣に菅直人副総理が就任した。これまでは、総理の辞任表明から次の総理大臣の誕生までは結構時間がかっていたが、今回はあっという間の交代劇だった。

さて、菅直人氏のルーツは瀬戸内海に広がる菅原氏の末裔だろう、というのは以前にもこのブログでも書いた(第24回)

ところで、「菅」には「かん」の他に「すが」という読み方もある。自民党の菅義偉元総務相の名字は「すが」と読む。この2つの読み方、どちらが多いかわかるだろうか。

全国の「菅」さんの読み方を集計すると、「かん」と「すが」は、ほぼ半々。やや「すが」さんの方が多そうだ。

しかし、この「かん」さんと「すが」さん、各地に半分ずついるというわけではない。実は分布には激しい偏りがあるのだ。

全国的にみて、「菅」姓が圧倒的に多いのは愛媛県。ここでは96%以上が「かん」さんである。次いで多いのが山形県でここでも90%以上が「かん」。そのため、全国の「かん」さんの半数以上は、この両県にいることになる。

ところが、3番目に多い秋田県では99%以上が「すが」で、菅義偉元総務相も秋田県湯沢市の生まれ。以下ほとんどの県で「すが」の方が多い。

つまり、愛媛・山形県両県の人にとっては、「菅」は「かん」と読むのが常識だが、それ以外の人にとっては「すが」が普通ということになる。

こういう名字の場合、著名人の出た読み方がメジャーなものと思われがちだ。当面、「菅」は「かん」と読む、というのが常識となりそうだ。
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