人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

三木鉄道廃止

このエントリーをはてなブックマークに追加

2008/04/01 13:25

3月31日、兵庫県播州平野の田園地帯を走る三木鉄道が廃止となった。直前はマニアが殺到するので、28日に三木に出かけてみた。

山陽線の加古川から、加古川線に乗換えて3駅目が厄神駅。ここが三木鉄道への乗換駅だ。三木鉄道は、もともと三木から加古川方面への美嚢川の水運の代替のために建設されたもので、当初から貨物が主体であった。戦争中に国有化されて国鉄三木線となり、1984年に第三セクターの三木鉄道に転換した。



一般にローカル鉄道の乗客は高校生が支えている。しかし、最も人口の多い三木と、厄神を経てつながっている加古川は学区が違うため、通学の高校生の需要がない。

さらに、三木駅の近くには、美嚢川をまたいだ反対側に神戸方面に伸びる神戸電鉄の三木駅があるため、旅客はどうしてもそちらに流れてしまう。そのため、廃止となるのは時間の問題で、よく今まで頑張ってきたともいえる。三木市民のアンケートでも大多数が廃止に賛成したということなので、住民の利用はかなり少なかったのだろう。



JRに併設された厄神駅で電車を待つこと1時間。駅では切符を全く売っておらず、車内で払えとのこと。筋金入りのローカルぶりである。しかし到着した列車は満員。しかも、一旦降りた乗客はすぐ車内に引き返していく。どうなっているのかと思ったら、三木で往復記念乗車券を発売し、地元の住民が廃線の前に記念に往復で乗車していたのだ。

ところで、厄神駅とは不思議な名前の駅だ。これは、近くにある宗佐厄神八幡神社に由来している。同神社は、天平感宝元年(749年)に孝謙天皇の勅願所として創建されたというから、かなり古い。奈良時代後半に、和気清麻呂が道鏡の野望を砕くために宇佐八幡宮に向かう途中、この神社の境内で道鏡の刺客に襲われたが、巨大な猪が現れて和気清麻呂を救ったという伝説がある。清麻呂の災難を救ったことから「厄除の大神」といわれるようになったという。

厄神駅そのものは、加古川線の駅として存続する。が、この線も厄神以遠は1時間に1本しかないローカル線。将来の展望は大丈夫だろうか。
このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ