人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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最近の子どもの名前

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2007/10/15 10:44

11日付けの朝日新聞夕刊に、「響き優先 今時の命名」という記事が出ていた。漢字の音を無視した読み方の名づけが増えているという内容で、子どもを持つ親にしてみれば、「何を今さら」というものではある。

名前自体は、時代によって変わっていく。昭和の始めには「昭一」や「昭二」といった名前がはやり、戦後は「和子」「和夫」といった平和に因んだ名前が増えた。皇太子が生まれた後は「浩」のつく名前が爆発的に増えるなど、その時代を反映して、名前にも流行があった。

ところが、昭和の終わり頃からは、命名法そのものが変化しはじめた。それは特定の名前への集中度が減ってきたのだ。人気のある名前は存在するものの、その集中度が以前とは比べものにならないほど少なくなった。また、本来の意味を気にしなくなったのもこの頃から。たとえば、長男ではなくても「太郎」「一郎」とつけることも多くなったのだ。次男なのに「鈴木一朗」であるイチロー選手はそのハシリ。それでもこの頃はまだ第三者がみても少なくとも「読む」ことはできていた。

しかし、平成も10年を過ぎたあたりからは、本来日本語には存在しない音の名前が増え、それに漢字の音や意味を全く無視してあてる命名が増えてきた。その結果、現在の幼稚園の名簿は第三者には読むことすらできなくなっている。

名字や名前の存在意義は、他人との区別にある。その意味では、同姓同名の存在しないユニークな名前は、正しいともいえる。しかし、もう一つ、名前とは他人に正しく認識してもらうためにも存在している。この意味で、こうした命名が正しいかどうかの判断は微妙だ。

ところで、この記事で面白い結果が一つある。名前を決める時に一番重視したのが、「漢字の画数」であるというのだ。漢字の意味は全く気にしないが、画数は大事にする、というのは、漢字の記号化が進んでいるのだろう。
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