人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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多賀大社と犬上氏

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2023/06/06 10:10

尼子氏や藤堂氏のルーツのある近江鉄道尼子駅から彦根方面に1駅乗って高宮駅で降り、多賀線に乗り換えると、次の駅は「スクリーン」というユニークな名称の駅だ。この駅は、大日本スクリーン製造(現在のSCREENホールディングス)が、彦根事業所の従業員の通勤の利便性のために費用を負担して設置されたものである。「スクリーン」という駅名だと会社名とはわからないことも多いだろう。

そして次が終点の多賀大社前駅。多賀線はわずか2駅の路線だが、実際には彦根方面からの電車が多賀大社前駅まで直通してることが多いようだ。因みに、多賀大社は関東ではあまりなじみがないが、古代から続く由緒ある神社である。

古代、近江国東部には有力豪族犬上氏がおり、多賀大社があるのも犬上郡である。多賀大社の神官も犬上氏の末裔がつとめており、もともとは犬上氏の祖神を祀ったものと考えられる。なお、犬上氏は対外交渉に活躍した人物が多く、推古天皇の時代に遣隋使となった犬上御田鍬が知られる。

多賀大社前駅から参道を500mほど歩くと、左手に多賀大社が見えてくる。

参道
大鳥居

地元では「お多賀さん」として親しまれている。多賀大社は皇室の崇敬も受けており、 豊臣秀吉が母の病気平癒を祈願して奉納した米1万石をもとにして築造されたという庭園は、現在国の名勝に指定されている。

多賀大社奥書院
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