人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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渡名喜と高藤

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2021/07/26 10:10

(画像は全日本柔道連盟公式サイトよりキャプチャ)

23日に東京オリンピックが開幕、24日には柔道女子48kg級で渡名喜風南選手が日本人初のメダル(銀)を獲得、続いて男子60kg級で高藤直寿選手が初の金メダルを獲得した。

「渡名喜」は名字ランキング9000位台で、やや珍しい名字。その雰囲気からなんとなくわかるように沖縄の名字だ。沖縄の名字はほぼ地名がルーツで、渡名喜のルーツは那覇の西の海上50kmほどのところにある渡名喜島。今でも渡名喜村という独立した自治体である。名字としては、那覇市や南城市など、沖縄本島の南部に集中している。

一方、「高藤」は全国に広く分布している。とくに多いのが、長野県東御市と広島県東広島市。この2か所はいずれも「たかとう」と読むが、富山県に集中している「高藤」は「たかふじ」である。

一般的に、「佐藤」や「加藤」のように、「~藤」と書いて「~とう」「~どう」と読む名字は藤原一族の末裔であることが多い。だとすると、「たかとう」と読む「高藤」は、藤原氏と「高」をつなげたものとなる。この「高」の由来ははっきりしないが、古代に朝廷で栄えた高階(たかしな)氏の「高」の可能性が高そうだ。

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