人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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大坂という名字の由来

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2016/01/25 11:29

(photo by BillionPhotos.com/fotolia)

錦織圭選手が注目されている日本テニス界だが、今度は女子で新星が現れた。2016年の全豪オープンで予選を突破、本戦でも3回戦に進出した18歳の大坂なおみ選手だ。日米ハーフで二重国籍だが、東京五輪では日本代表を目指すという。

大坂選手は大阪市生まれ。大阪は江戸時代以前は「大坂」と書いたことから、「やはり」とい言いたいところだが、実は大阪に「大坂」はそれほど多くない。「大坂」が多いのは、青森・秋田を中心に東北・北海道・北陸地方。実は、この地方には「大坂谷」や「大坂屋」という名字も多い。

「大坂」は今の大阪市をルーツとするというよりは、「大坂屋」という屋号に由来していると考えられる。江戸時代、「~屋」と号していた商家は、明治になって名字を登録する際、屋のままで登録したもの、屋を谷に変えて登録したもの、屋をとって登録したものに分かれた。

江戸時代、日本海側は北前船による交易が盛んだった。北前船は大坂と北海道を結ぶもので、途中日本海側の各地に寄港しながら商いを続けた。そのため各地に「大坂屋」という屋号の店が生まれ、彼らが名字を登録した際に、「大坂」「大坂屋」「大坂谷」などとしたものだろう。

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