人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、本当?と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

著書は『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など多数。

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国母という名字

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2006/02/13 10:30

トリノ五輪が現地時間の10日夜に開幕した。開会式は日本時間にすると翌日の早朝だったので、多くの人は録画で見たのではないだろうか。

翌日からは早速競技も始まった。日本選手団の先頭をきって戦ったのは、スキーとスノーボードの選手達。その中で注目されていたのがスノーボード・ハーフパイプの国母和宏選手だ。

弱冠17歳と、冬季の男子選手としては非常に若いだけでなく、W杯では欧州勢を抑えて2勝をあげるなど、メダルの有力候補とみられていた。しかし、ふたを開けると欧米のプロ選手達は非常に強く、国母選手を含め全員予選落ちという結果になった。

ところで、この国母という名字は珍しい。国文学や歴史に詳しい人だと、疑いもなく、「こくも」と読むだろう。「国母」とは天皇の実の母親のこと。たとえば「源氏物語」では藤壷がこれにあたり、物語の中でも重要な役割を果たしている。

しかし、名字としての「国母」は「こくぼ」と読む。国母という地名は山梨県甲府市にあり、鉄道マニアならJR
身延線の国母駅として有名。この駅は、中央リニア新幹線ができた暁には、新甲府駅と改称して在来線との接続駅になることで知られているのだ。

ここには、清和天皇の母親にあたる藤原明子(染殿后)の墓と伝える姫見塚があることから、この地域が国母と呼ばれるようになったものだが、読み方は「こくも」ではなく「こくぼ」。「国母」という名字も「こくぼ」と読むうえ、関東地方に多いことから、国母姓のルーツは山梨県の国母である可能性が高い。

国母選手は北海道石狩市の出身。石狩市は札幌に隣接し、大規模な住宅地の開発で発展した町だ。ということは、住民の多くはもともと違う場所から移り住んできたことになる。国母選手のルーツも山梨にありそうだ。

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