日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2021/06/28 14:29
全国名字ランキングの192位に「伊東」という名字が入っている。全国に広く分布しているため、周りにいるという人も多いだろう。この伊東さん、ランキング上位の名字としては珍しく、そのルーツが1か所に特定されている。数の多い名字はルーツが複数あるから、というものが多い。
伊東さんは藤原氏の末裔。そのため、同じく藤原氏の末裔である「伊藤」と同じ一族と思っている人もいるが、「伊藤」が藤原北家の子孫であるのに対し、「伊東」は武家として栄えた藤原南家の末裔である。平安時代後期に藤原維職が伊豆押領使となって伊東荘(現在の伊東市)に住み、伊東氏を称したのが祖で、まず伊東を本拠として栄えた。その後、一族の伊東祐経が源頼朝の寵臣となって各地に所領を与えられ、全国に広がっていった。
中でも有名なのが日向国(宮崎県)に移り住んだ伊東氏で、戦国時代には戦国大名として島津氏と激しく争い、江戸時代には日向飫肥藩主となっている。この他にも各地に伊東氏があり、それらも伊豆伊東氏の末裔と伝えている。
伊東市役所の前には、颯爽と馬にまたがった伊東本家の祖、伊東祐親の銅像がある。蛭が小島に流されていた源頼朝の監視役で、かたき討ちで有名な曽我五郎・十郎の兄弟は祐親の孫にあたる。