人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、本当?と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

著書は『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など多数。

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里山公園の谷戸田

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2019/09/30 09:24

新治里山公園には、いくつかの「やと」がある。

中世以前、人は谷間に住むことを好んだ。戦乱の時代、平野の真ん中に住むと四方から敵の攻撃を受ける可能性があるが、谷間に住めば、その入口だけを武士が守ればよい。また、谷間には川が流れて農耕に適しているだけではなく、山が近く燃料としての薪を得るのも容易だ。さらに、万一敵に攻め込まれても、すぐ裏山に逃げ込むことができる。

ようするに、谷間こそ最高の立地だった。

こうした谷間のことを西日本では「さこ」ともいい、「さこ」に「迫」という漢字をあてた「~迫」という名字も多い。この他にも「窄」「佐古」「峪」といった漢字を使うこともある。

一方、関東地方では、谷間のことを「やつ」「やと」という。鎌倉の扇ヶ谷(おうぎがやつ)は有名だが、神奈川県では平野が山の麓に入り込んだ小さな谷間のことを「~やと」といい、「谷戸」という漢字を当てることが多い。

新治里山公園にもいくつかの「やと」があり、それぞれ「~谷戸」という小字がつけられている。こうした谷戸に作られた田が「谷戸田」で、新治谷戸田では刈り取った稲を天日に干す「イナバ」(はさ、ともいう)もつくられていた。このイナバに漢字を当てたのが「稲葉」である。

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