人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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ノーベル賞を受賞した本庶佑氏のルーツ

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2018/10/09 09:58

(画像は京都大学公式サイトよりキャプチャ)

今週は、前回のあとを受けて旗本勝家のことを書く予定だったが、1日の本庶佑京大名誉教授のノーベル医学生理学賞受賞を受けて、急きょ「本庶」という名字について見てみたい。

「本庶」は富山市の名字で、全国でもおそらく10世帯未満と極めて珍しい。本庶佑氏は山口県の出身だが、これは父の正一氏が山口大学医学部教授だったから。そして、正一氏は富山県の出身である。

現在の富山市百塚付近は、江戸時代は越中国婦負郡本庄村と言われていた。そして、この「本庄」という地名は、「本所」と書かれることもあったようだ。つまり、「ほんじょう」ではなく、「ほんじょ」とも呼ばれていたことになる。また、少し離れた同市中老田には本庄山専称寺という浄土真宗の寺もある。

そもそも「本庄」とは「本来の荘園」という意味。荘園の範囲が広がった際に、新しくできた荘園を「新庄」や「別符」といい、もとからあった荘園のことを「本庄・本荘」といった。

本庄村と本庄山は、おそらく元は同じで、この付近一帯が「本庄」だったのだろう。そして、「本庄」を「ほんじょ」と読み、「本庶」という漢字をあてて名字にしたのではないだろうか。

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