日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

2026/06/09 10:44

5月末、高知で講演のあと1泊して祖谷を訪れた。祖谷は徳島県だが、徳島市よりは高知市からのほうがアクセスが良い。高知駅から最寄りの大歩危駅まで特急南風で50分ほど。そこからバスに30分ほど乗ったところが有名な祖谷のかずら橋で、この秘境まで待ち時間を入れても2時間弱で辿り着くことができる(ただし本数が少ない)。

急峻な四国山地のただなかにある祖谷は、近代まで外部との交通機関がなくまさに秘境であった。ここには源平合戦で敗れた平家の落人達が安徳天皇を戴いて隠れ住んだと伝わっている。
そして、祖谷川にかけられた集落に至るためにはシラクチカズラで作られた橋を渡る必要があった。この橋は万一の場合には切り落として外敵を防ぐことができたという。


今では観光地と知られ、朝一のバスで行ったときにも外国人を含めすでに何人かの観光客が来ていた。時間がたつにつれて、駐車場には多くの観光客を乗せた大型観光バスが到着、台湾からの団体もみられた。目的は皆かずら橋を渡ることだが、全員が渡れるわけではない。
というのも、橋は本当にツルと板でできており、橋板と橋板の間は大きくあいていて下を流れる渓流が見える。しかも橋は揺れ、つかまるべき橋の側面も頼りない。そもそも高所恐怖症の人はこないと思うのだが、通行料金を払っていざ橋に踏み出したものの、2・3歩で「無理」といって引き返していく人もいる。不安定な橋は全長45mでもかなり長く感じられ、スリル満点。

しかし、橋はバス停から5分ほどのところにあり、橋自体も数分で渡り終える。観光バスの団体は橋を渡ると帰って行くが、路線バスは2時間に1本ほどしかない。することもないので渓流沿いに歩き、河原におりて時間をつぶした。
帰りはバスを途中でありて、平家屋敷民俗資料館に寄ってみた。

やはり平家の落人の子孫で、安徳天皇の御典医をつとめたという堀川内記の末裔と伝えている。代々医師と神官をつとめ、蜂須賀氏の阿波入国の際には蜂起に加わったが敗れ、江戸時代は名主となって地名から名字を「西岡」に変えたという。管理人の方によると、現在も20代目の当主が継いでいるとのことである。