本日(2017/6/23)、東京都議会議員選挙が告示され、7/2(日)まで各陣営は熾烈な選挙戦を戦い抜くことになります。そして、選挙で一番盛り上がるのが開票速報。TVでは、どこの局もこぞって特番を組み、次々と速報を流していきます。

そこでしばしばみられるのが「開票率1%で当選確実(当確)」という現象。残りの99%の結果がわからないにも関わらず、どうして確実と言えるのでしょうか。そのしくみと原理を『広告・ニュースの数字のカラクリがわかる統計学』の著者・涌井良幸さんに聞いてみました。

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選挙の開票速報で、開票率1%なのに当確が出るのはなぜなのか

東京都の都議会議員の選挙が近づいているが、選挙のたびに気になるのが上記の見出しである。なぜ、たったの1%を開票しただけで「当確」の判断ができるのか。この問いに対する答えを考えてみよう。

「開票」のしくみからわかる?

選挙の「開票」作業は慎重を要する作業である。したがって、1回の票の確認では公表はできない。そこで公表するには何回もの確認作業が必要になり、この作業を経た票だけが「開票」された票とみなされるのである。したがって、「開票率1%」などと開票状況が公表されるときには、多くの票は既に一通りは確認されていることになる。

つまり、この時点で態勢はほぼつかめていることになるため「開票率1%」の時点で相当な確信をもって各候補の当落を判断できてもおかしくない。だが、これでは開票作業開始「直後」に当確が出せないため、矛盾が生じる。

事前の調査より明らかになる?

投票所で投票を済ませた人の一部から投票先を聞き取る出口調査や選挙事務所などへの聞き取り調査などをもとにすれば、開票作業が始まる前に予め当選者を予測することができる。しかし、これだけで強い確信をもって候補者の「当確」を予め判断するのは難しいだろう。

投票結果を統計学の理論で推定する

では、統計学の理論を用いて推定するのはどうだろうか。開票された1%の開票結果だけをもとに、当確の判断ができるかどうか検討してみよう。

しかし、検討に入る前に既にいくつか不安がある。それは、「1%」という量に関することと「どの票を開票したか」ということである。これらのことを考慮しながら検討してみることにしよう。

1.「1%」という量

理論は極端にしてみると分かりやすい。そこで、100人の選挙人がA、B二人の立候補者のどちらかに投票する場合を考えてみよう。

この場合、開票率1%は「1人分を開票した」ということになる。その結果がAだったとき、これをもとにAの得票率を予測することはできるだろうか。

おそらく、多くの人は「無理」と答えることだろう。こう考えると「1%」という形式的な値は、推測の妥当性の根拠としてあまり意味がないことが分かる。

それでは、総投票数のほんの一部分が開票されただけで「当確」と判断するための合理的な理由は一体なんだろうか。この疑問に答えてくれるのが統計学の「推定に関する理論」であり、次のようになる。