人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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戸籍の電算化

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2006/04/24 13:57

 4月15日の朝日新聞湘南版に、おもしろい記事が載っていた。
 記事によると、小田原市が5月1日から戸籍の電算化をスタートさせるという。これによって、戸籍関係の書類が手書きからデータベースに変わり、書類の交付をはじめ、いろいろな作業が効率化されることになった。
 データベース化するにあたっては、すべての戸籍を入力しなければならない。現在では、人名に使用できる漢字には制限があるため、とんでもない漢字を使用した名前というのは存在しない(戦前生まれの方は別)。
 しかし、名字の方は原則として変更ができないため、明治時代に登録されたものが、そのまま有効である。そのため、俗字や略字といった非公認の字体も多い。さらに問題なのが“誤字”。現在と違い、明治時代の漢字識字率はそれほど高くない。戸籍作成時に、登録した本人や、登録した官吏の書き間違いまでが、そのまま戸籍として採用されているものがあるのだ。
 今回データベース化するにあたり、こうした“誤字”を使用している戸籍を調べたところ、なんと延べ6,000件も発見されたという。市では、旧字や俗字は認めるとしても、誤字については本人に連絡して、正しい戸籍に修正することの了承をもとめた。ほとんどの人からは了解を得たものの、印鑑も戸籍に合わせてわざわざ誤字でつくったので、いまさら戸籍は直せない、という人もあったという。
 電算化できない、こうした誤字を含む戸籍については、紙のままで残すことになる。昨年末に電算化した隣の南足柄市では、3件が紙戸籍のままで残っている。
 ミスを直してすっきりとするか、それとも、明治以降130年も使い続けた誤字に愛着を持つか。修正を依頼した市によると、「修正に応じない人は予想外に少なかった」ということだ。
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