人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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富士急行の寿駅

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2012/09/03 14:52

先週は河口湖のカチカチ山ロープウェイについて書いたが、その河口湖にはJR中央線の大月駅から富士急行に乗り換えて行った。その途中で気になったのが、三つ峠駅と葭池温泉前駅の間にある、寿駅という小さな無人駅だ。



寿駅


何か由緒のある地名に違いないと思ったが、駅の住所は山梨県富士吉田市上暮地という。ちなみに、下暮地は富士吉田市ではなく西桂町に属している。寿駅は元は地名通りの暮地駅という名称だったが、昭和56年に現在の寿駅に改称されたといい、結構新しい。

改称の理由ははっきりしないが、暮地(くれち)という駅名が墓地を連想させて縁起が悪い、ということらしい。昭和35年に暮地地区のうち、上暮地だけが富士吉田市に編入した際に、縁起のいい名称として考えられたのが「寿」ということのようだ。

今では縁起のいい駅名として、富士急行の有人駅で寿駅の硬券入場券も発売していたようだが、残念ながら気がつかなかった。

なお、北海道の天北線にもかつて寿駅があり、こちらは北海道枝幸郡中頓別町字寿という地名に由来していた。北海道では、明治以降に原野を開拓して新しく地名をつけたため、こうした瑞祥地名は各地にある。

こちらの寿駅も縁起のいい駅名として硬券入場券が発売されていたが、平成元年に天北線が廃線となったために廃駅となっている。
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